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Side松倉
目が覚めると、部屋の中は真っ暗だった。テーブルに突っ伏して寝落ちしていたみたいで、腕が軽くしびれている。
倉「…ん?」
肩から何かが落ちた感じがして、床にかがむ。拾って見ると、それは俺の上着だった。自分でかけて寝た記憶はないから、元太が寝ている俺にかけてくれたんだろう。
俺はそのまま上着を羽織って、部屋の中を見回した。
部屋の外に、ぼんやりと光が見える。玄関の方だ。俺は立ち上がって、玄関の方に向かった。
倉「え…?」
明かりがついたままの玄関は、明らかに何かが違う。数秒目を凝らせば、裸眼でも違和感の正体が分かった。
ドアだ。ドアの鍵が、開いてる。退院の時に新しく買った元太の靴もない。
背中がひんやりと冷たくなる。俺は、迷わず玄関ドアを押し開けて外に飛び出した。
倉「…元太!」
外に出てすぐ、倒れている人影が見えた。近くには杖も落ちてる。俺は震える足を無理やり前に進めて、駆け寄った。
倉「元太!元太、大丈夫か?」
まだ弱く雨が降っていて、抱きかかえた元太の体はずぶ濡れだった。傘を持ってくるのを忘れてしまったから、着ていた上着を元太にかける。
倉「元太、とりあえず家戻ろう?風邪ひいたらヤバいから。」
返事のない元太の体を支えて、そのまま背負おうとしてみる。多少体格差はあるけど、何とかなると思った。
でも、
元「…やめろよ!」
元太が勢いよく体をよじらせたせいで、元太も俺も地面に倒れこんでしまった。元太の手が、乱暴に俺の手から杖を奪い取る。
元「…勝手に、背負うんじゃねえ!」
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おさと(プロフ) - ユルピさん» ユルピ様、コメントありがとうございます!素敵なリクエストをいただき、ありがとうございました!よろしければ、最後までお付き合いいただけますと幸いです! (2022年11月27日 19時) (レス) id: 9a83433ded (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - るるちゃさん» るるちゃ様、ご無沙汰しております!もちろん覚えております!!素敵なリクエストを、本当にありがとうございました。読み返していただいていたとのこと、本当に嬉しいです。最後までお楽しみいただけるよう頑張りますので、今後ともお付き合いいただければ幸いです! (2022年11月27日 19時) (レス) id: 9a83433ded (このIDを非表示/違反報告)
ユルピ - 如恵留くんのリハビリのお話見ました!とても感動的で心が暖かくなりました!この小説が最後になるのは寂しいですが、残りも頑張ってください! (2022年11月26日 20時) (レス) @page27 id: 05904f8bd6 (このIDを非表示/違反報告)
るるちゃ(プロフ) - 楽しみになっていました。暇な時に何回も何回も読み直し〜なども良くやっていました(笑)今後もそれを続けていきたいと思います。残りの作品を目一杯楽しみます。本当に本当にこの作品が今までにないくらい大好きです。おさとさんありがとうございました!! (2022年11月26日 20時) (レス) id: 08c89fe430 (このIDを非表示/違反報告)
るるちゃ(プロフ) - 久しぶりに見させて頂きました。覚えているかは分かりませんが何回かリクエストさせて頂いた元「kai」「海輝」という者です。久しぶりに占いツクールを見てこの作品に辿り着いたのですが終わってしまうと思うと凄く寂しいです。沢山リクエストさせて頂いて毎日の (2022年11月26日 20時) (レス) id: 08c89fe430 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おさと | 作成日時:2022年11月12日 16時