・ ページ28
Side元太
体が痛くて、全然力が入らない。今すぐ目を閉じたかったけど、俺の大好きな声が飛んでいきそうになる意識を引き留めた。
倉「元太、元太っ!」
涙と雨でぐちゃぐちゃの顔が、俺の視界に入ってくる。よかった。無事だ。
ほっとして今度こそ意識が飛びそうになった時、今度は全然知らない人の声が聞こえた。名前は?とか、せーねんがっぴは?とか色々聞かれたけど、上手く答えられたかわかんない。
気づいたら体がふわっと浮いて、硬い台の上に乗っけられた。そのまま狭い所に運ばれる。
倉「元太、今救急車乗ったから。もう少し頑張れ…!」
耳元で声が聞こえて、俺はまた重たい目を開けた。震える手を必死に伸ばして、真っ白なほっぺに触る。
元「…かい、と、」
倉「ん?」
元「ケ、ガ、ない、?」
声は聞こえなかったけど、多分頷いてくれたと思う。指先に温かい涙が流れてきたのを最後に、俺はやっと目を閉じた。
次に目が覚めた時、俺は全然知らない部屋に寝かされていた。点滴だけじゃない色んなものが体につながっていて、全然体を動かせない。
近くにはパパとママがいて、目を開けた俺を見て「よかった」って言った。
笑っているのに、ボロボロに泣いていた。
そのうちお医者さんっぽい人が来て、俺の体を難しい顔で触っていく。手ははっきり感覚があるのに、足はいまいちわかんない。
その人は、下半身の麻痺だって言った。対麻痺って言われて意味が分かんなかったけど、両足の麻痺って意味らしい。意味は分かったけど、理解はできない。
ボーっとしてる俺を見て、ママが俺の手を握った。
「海斗くん、お昼には来てくれるからね。」
上手く働いてくれない頭に、その名前だけがはっきりと響く。気づけば俺は、ママの手をぎゅっと握り返していた。
元「…ダメ。海斗は、ここに来ちゃダメ。」
463人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おさと(プロフ) - ユルピさん» ユルピ様、コメントありがとうございます!素敵なリクエストをいただき、ありがとうございました!よろしければ、最後までお付き合いいただけますと幸いです! (2022年11月27日 19時) (レス) id: 9a83433ded (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - るるちゃさん» るるちゃ様、ご無沙汰しております!もちろん覚えております!!素敵なリクエストを、本当にありがとうございました。読み返していただいていたとのこと、本当に嬉しいです。最後までお楽しみいただけるよう頑張りますので、今後ともお付き合いいただければ幸いです! (2022年11月27日 19時) (レス) id: 9a83433ded (このIDを非表示/違反報告)
ユルピ - 如恵留くんのリハビリのお話見ました!とても感動的で心が暖かくなりました!この小説が最後になるのは寂しいですが、残りも頑張ってください! (2022年11月26日 20時) (レス) @page27 id: 05904f8bd6 (このIDを非表示/違反報告)
るるちゃ(プロフ) - 楽しみになっていました。暇な時に何回も何回も読み直し〜なども良くやっていました(笑)今後もそれを続けていきたいと思います。残りの作品を目一杯楽しみます。本当に本当にこの作品が今までにないくらい大好きです。おさとさんありがとうございました!! (2022年11月26日 20時) (レス) id: 08c89fe430 (このIDを非表示/違反報告)
るるちゃ(プロフ) - 久しぶりに見させて頂きました。覚えているかは分かりませんが何回かリクエストさせて頂いた元「kai」「海輝」という者です。久しぶりに占いツクールを見てこの作品に辿り着いたのですが終わってしまうと思うと凄く寂しいです。沢山リクエストさせて頂いて毎日の (2022年11月26日 20時) (レス) id: 08c89fe430 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おさと | 作成日時:2022年11月12日 16時