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#24 ページ24

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__”もう素直に

  なっても良いんじゃないかな?”








首領の愉快で控えめな笑い声が耳に残る。

書類を纏める手を額にあて、唸る私は周囲の部下からは悩める上司の姿であった。







”だって一年も続いてるんだろう?
一度蹴りを付けなさい。”








確かに太宰幹部との接触は一年前から続いている。だが彼の一方的なものであって私は特に興味が無かった。

むしろ嫌だった。









観覧車で接吻をされるまで(・・・・・・・・)は。





途端に意識してしまう私の脳みそをえぐり出したい。







”これ以上太宰を焦らすと、

取り返しがつかなくなるんじゃない?”








”そうだよねぇ。もう既にあの太宰君だから、



狼になっても可笑しくないからねぇ……?”






これは恋というのだろうか。

訳がわからない。





あの太宰幹部にもっと触れてほしいとか考えてしまうこの感覚は。









とん、と肩に手が後ろから置かれた。

その手に包帯が見えた気がして








「なァ、」







『違う……っ…!』



「あァ!?」







思わず彼の顔を見ずに突飛ばして一人取り乱していた。




視界がころころと変わる。
落ち着け、落ち着け。






『私は何も思ってない…違う…違う…っ』



「おい、どうしたんだっ!」








ぐい…っと手首を掴まれ引き寄せられた。その勢いで視界が上がる。

見知った顔が近くて、驚き見開く。







「ちゃんと見ろ。
誰と話してるつもりなんだ。」







青い目に橙色の髪。

中原幹部だった。







『中原幹部…どうして……?』




「……一寸、表出るか。」









中原幹部は周囲のざわつく部下に目配せしてから、私の手首を掴んだまま仕事場から一緒に連れ出た。







.



.





「潮風にでもあたれば頭が冷えるだろ?」









中原幹部はそう云ってやっと海浜で私の手首を離した。


潮の匂いに海から聞こえる波の声。

自然に心がゆらゆらと揺らいでいた。





隣で海と同じ青の目で落ち着いて見つめる中原幹部の横顔を見て云う。









『……中原幹部、先程はすみませんでした。
勘違いしていたようで…。』


「どうせそうだと思った。
また太宰の奴だろ?」


『…はい。』








青鯖絶対潰す。と忌々しく呟く声は低音でガチなのがわかる。




橙色の髪が海風に揺れ、彼の目元が隠れる。









「あんな奴の何処に惹かれたんだよ。」

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米粉めこ - 完結おめでとうございます!とても面白くて一気読みしました! (11月29日 2時) (レス) @page50 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
つくも(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2021年12月20日 16時) (レス) @page50 id: 3b5cd0d846 (このIDを非表示/違反報告)
amane(プロフ) - 一気読みしました。とても面白かったです!完結おめでとうございます。 (2021年12月20日 1時) (レス) @page50 id: 9f53b410f9 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!読んでいてとても楽しかったです!!! (2021年12月17日 6時) (レス) id: b0014f1469 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2021年12月16日 8時) (レス) @page50 id: 813026887d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白氷 | 作成日時:2021年10月1日 22時

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