伍拾伍 ページ46
「ひぎゃあぁぁぁぁああああ！」
敦の悲鳴が聴こえて暫くした後に重傷だった皆さんはつやつやさせて回復していた
与謝野先生何したの…
「全く腑甲斐無いねェ、妾の能力とAの助けが無きゃ今頃揃って土の下だよ」
「ありがとうございました、与謝野先生」
敦達の話を聞いたところ、ポートマフィアとの交戦中に組合と遭遇したらしい
この3人をあそこまで重症にする異能か…
考え込んでいると社長が来た
社長の姿を見るなり国木田さんは椅子から立ち上がる
「社長！申し訳ありません、俺が居ながら」
「佳い、少し出る」
「でもっ、今外出は………」
敦の言葉に耳を傾けずに社長は探偵社を後にした
これは…不機嫌だなぁ…
「ハァ、ありゃ相当鶏冠に来てるね」
「？」
やっぱりか
「却説、そろそろかな…」
『…あぁ、あの人ですか』
太宰さんは医務室へ向かったので、私と敦はそれについて行った
「やあ姐さん、ご無沙汰」
丁度姐さん…尾崎紅葉さんは目を覚ました
「確かに久しいのぉ…裏切り者よ
組織の誰もが其方の首を狙っておるぞ」
『大変ですね太宰さん』
「君も人の事は言えないだろう？勧誘受けてる癖に」
「か、勧誘！？」
『あ、敦今のは聞かなかったことにして』
「……童、鏡花は無事かえ」
尾崎さんは扉の近くの壁に寄り掛かる敦に聞いた
「彼女は…行方知れずだ」
私がもう少し早くあの場に着いていれば、鏡花ちゃんの行く末が分かったかもしれないのに…
「貴女の所為だ」
そう言う敦は怒りの表情をしていた
「くく……くくくくく……」
そんな敦とは対照的に尾崎さんは笑う
敦はそれが逆鱗に触れ、尾崎さんに向かって虎の爪をたてる
「何が可笑しいッ！」
『はいストップ。太宰さん』
「はいはい」
今にも殴る寸前のところで私は敦を抑え、太宰さんに異能を解いてもらう
「彼女は私に任せ給え………Aちゃん」
『…了解』
「ちょ、Aさん！？」
私は敦を連れて廊下に出た
「どうしてです！Aさん！？」
随分興奮してるなぁ
『落ち着いて。一先ず此処は太宰さんに任せよう。ここからは…大人の時間だから』
なんとか敦を宥めてその場を離れた
まあ、経緯は違えど、彼女をここに連れて来て正解だったのかもしれない
きっと太宰さんはポートマフィアの戦況や作戦を聞き出すだろう
私達を追い出したって事は元マフィアなりの拷問でもするのかなぁ…
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作者名：やきなす | 作成日時：2020年11月10日 11時
