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和也｢ねぇAさん｣
｢はい？｣
和也｢Aさんは仕事楽しい？｣
｢楽しいですよ？｣
和也｢なんで疑問系？｣
｢なんででしょう？｣
和也｢まぁ、良いけど。｣
｢…？｣
和也｢なんかさ、こんな事言ったらアレだけど、柏木さんの方がパッと見た感じ美容師です。って言われてそうだよねってなる｣
｢確かにそうですよね。髪も綺麗だしメイクも今の流行を取り入れて、ネイルもいつでも綺麗です｣
和也｢そうだね。でも俺はAさんのThe美容師！って感じの手の方が好きだよ｣
｢え…？｣
和也｢深爪してるんじゃない？ってくらい短い爪に、クリーム塗らなきゃ乾燥してカサつく手。ネイルしてないってよりも、カラー剤？で爪が少し染まってる。頑張って仕事してる証拠でしょ｣
｢よく……見てますね｣
ビックリした。始めて言われた。今までだってずっと言われてきた。
女なのにネイルしないんだね
女のくせに手ガサガサだね
女なのに爪汚いね
それなのに偶にネイルすると、誰も見てないとか男はそう言う爪好きじゃないんだよとか。
女は男に好かれる為にお洒落してると思ってる。
自分の為なのに。お洒落は自分のテンションやモチベーションを上げる為にするもの。
多少は職業柄ってのもあるけど。
和也｢ねぇ｣
｢はい？｣
二宮さんがソファの肘掛に肘を付いき手に顎を乗せてこっちを見ていた
和也｢十中八九悪い意味で取ってない？｣
｢えっと…｣
和也｢今まで女のくせにネイルしてないとか、手ががさついてるか言われてきた？｣
｢……｣
和也｢それなのに偶にメイク変えたり髪型変えたりネイルしたりすると、男でも出来たのか、それ男は好きじゃいとか言われた？｣
｢ど…して…｣
なんで？なんで分かるの？なんで分かったの？
和也｢俺ね、趣味なの。人間観察｣
｢へ？｣
二宮さんが変なこと言うから、変な声が出た
和也｢んー趣味…なのかな？クセ？兎に角、人の表情とかを他の人より良く見ちゃうの｣
｢そ…なんですね｣
和也｢うん。だからね、俺がさっきネイルしてないねって話してからAさん…呼びにくいからAって呼ぶね。Aの表情が一瞬曇って、それから強張った｣
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作者名：白ネコ | 作成日時：2019年11月20日 17時
