結婚式 ページ38
結婚式当日
梵天の一件で警護が必要となったA
Aにも列席者にも何かあっては困る
そのため、ごく親しい人だけを呼ぶ、小さな結婚式だ
支度をするAを待つ間、俺は控え室にいた
一虎
「やべっ…
なんか、緊張してきた…」
千冬
「いや、一虎くんは緊張しなくていいっすよ」
一虎
「緊張するに決まってるだろ」
一虎くんが緊張する理由
…Aのエスコートだ…
本来なら父親と歩くはずのバージンロード
でも、親父さんは亡くなっている…
父親不在の場合、兄弟とか親族がその役を担うのが普通だ
けど、親族もほとんど呼んでいない
だから、Aは一虎くんにその役を頼んだ
数少ない、Aを子供の頃から知っている人だから…
一虎
「もし、場地がいたら…」
そう…
もし場地さんがいたら、その役は場地さんだっただろう
千冬
「でも、Aは一虎くんを選んだ
場地さんのオフクロさんも、承知してくれた
それでいいじゃないっすか」
一虎
「…そぅだな…」
そんな話をしていると、控え室のドアがノックされた
Aの支度ができたらしい
スタッフに案内されて部屋に入ってきたA
急に言葉が出なくなった
三ツ谷くんが忙しい時間を割いて仕立ててくれた純白のドレス
よく、似合ってる
A
「ちょっと、恥ずかしいんだけど…」
千冬の母
「何言ってるのよ
すっごく綺麗」
Aの母
「一生に一度しか着れないんだもの…
ちゃんと、目に焼き付けないと…」
Aに続いて母親達も入ってきた
一虎
「うん、似合ってる」
A
「トラくん…
ありがとう」
千冬
「みっ、三ツ谷くんの腕は確かだからなっ…」
千冬の母
「千冬、あんたもうちょっと素直に褒められないの?」
俺たちがわいわい騒いでいる傍らで、Aの母親はAのベールを下ろしていた
Aの母
「千冬くんを信じて、幸せになりなさい」
A
「うん…
ありがとう」
俺は先にチャペルに入り、新婦を待つ
列席者には、近しい親族とAの友人、東卍のメンバー…
本当なら、このチャペルいっぱいに人を呼びたかった
盛大に挙式と披露宴をして…
今まで世話になってきた人たちに、感謝もこめて…
でも、そんな贅沢なことはいえないよな…
今、こうしてAと一緒にいられる未来を掴めた
それだけで、十分だ…
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作者名:神奈月 | 作成日時:2022年12月5日 18時