必ず助けるから ページ16
Aがいなくなって1週間
直人からの連絡はない
毎日無気力で、なんとか仕事してるような感じだ
閉店後、バックヤードで何気なくテレビをつけてぼぉっとしてる時だった
梵天のニュースが流れた
『さきほど、こちらのホテルに梵天の幹部がそろって入って行ったとの情報がありました
滅多にその姿をとらえることができませんが、偶然にも当局がその姿をキャッチしました
何かの会合で幹部が集まっていると見られます』
そして流れた梵天幹部たちの映像
つばの広い帽子を目深に被った女を囲むように、イカつい奴らが歩いている
顔は見えない
でもわかる…
Aだ…
千冬
「…一虎くんっ！
やっぱりAは梵天にいる！」
一虎
「ぁ？
でも、確証はねぇだろ？」
千冬
「さっき映像に映ってた！
顔は見えなかったけど、絶対にAだった
俺が間違えるはずねぇ」
一虎
「…梵天、か…
本当ならとんでもねぇ奴らのとこにいるな
あいつらはただの不良じゃねぇ
俺ら一般人が手ぇ出せる相手じゃねぇよ…」
千冬
「んなことわかってる！
でも、ここでじっとなんかしてられっかよ！」
一虎
「千冬…
気持ちはわかる…
だからこそ、落ち着け
前も言ったけど、今何をすべきか、考えよう」
千冬
「考えてる暇ねぇよ！
俺、行ってくる！」
テレビの映像で流れていたホテルはそんなに遠くない
今もそこにいるかなんてわかんねぇ
でも、考えるより先に体が動いていた
裏に停めてあるゴキで現場に急いだ
ホテル前は普段の様子と変わらない
マスコミはもう撤収したようだった
ゴキに乗り、広い車道の反対側にホテルがある
どこかでUターンしてくるか…
そう思った時だった
ホテルからぞろぞろと、イカつい奴らが出てきた
危険を承知でバイクを歩道の端に置き、慌てて施錠した
道路は広くて突っ切れない
横断歩道から行くしかない
走り始めようとした時、あの帽子の女がホテルから出てきた
間違いない、Aだ…
千冬
「A！！」
俺がそう呼ぶと、女はきょろきょろと周りを見渡した
千冬
「A！
すぐ行くから！！」
女は顔を上げて、俺の方をみた
やっぱり、Aだった
A
「千冬っ！？」
Aがそう声を上げると、周りにいた奴らが慌て始めた
あいつら、灰谷兄弟に、モッチー、明石だ…
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作者名：神奈月 | 作成日時：2022年12月5日 18時
