6 ページ6
Aの話を聞いて、俺は思い出した
場地さんの葬儀のあと、声をかけてきた女がいた
でも、まだいろんなことを受け止めきれない時だった
だから、その女のことは気に留めることもなく、適当にあしらった…
千冬
「あの時、俺に声をかけたのは、Aだったのか…」
A
「…よく、圭介くんから話聞いてたんです
犬みたいにくっついてくる奴がいる、って
私ね、圭介くんに言ったんですよ
そんなに圭介くんのこと大好きな人がいるなら、私も会ってみたいって
そしたら、ダメだ、っていわれちゃって
理由を聞いても教えてくれなかったけど…」
Aは俺に視線を向けて言った
A
「私たち、とっくの昔に出会ってたんですね…」
そう言われて、身体中の血液が顔に集まったような感覚になった
自分の心臓の音がいつもより大きく聞こえる
A
「どこかで会ったことあるような気がしてたんだけど…
やっと思い出せた
ちょっと、すっきりしたかな…」
千冬
「…そぅか…
すっきりしたなら、よかった…」
違げーよ、A
確かに、昔出会ってたのはわかった
でも、本当に思い出してほしいのは、その記憶じゃない
A
「私、そろそろ行きます
昔話に付き合ってくれてありがとう」
Aが立ち上がると、急に強い風が吹いた
俺に、背を向けて歩き出したA
千冬
「A、ちょっと待って…！」
思わずAに声をかけて、手を掴んだ時だった
Aの目が一瞬大きく開いた
千冬
「A、俺っ…」
A
「…ちふ、ゆ…？」
次の言葉を発する前に、Aはそのまま体制を崩した
慌てて抱き止めると、A頭を押さえながら少し俺に体を預けてきた
A
「ご、ごめんなさい…、急に…
なんだろ、立ちくらみかな…」
千冬
「ここまで、歩き？」
A
「はい…」
千冬
「なら、家まで送ってく
そんなんじゃ、歩くの辛いだろ？
俺、バイクで来てるから」
A
「…でも…」
千冬
「送ってくって言ってんだ
お前がどっかで倒れられたら、俺が場地さんに怒られる…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 95人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
神奈月(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。お話は佳境ですが、みなさんに楽しんでもらえるようにがんばります。 (2022年11月27日 7時) (
レス) id: d80d51a44f (このIDを非表示/違反報告)
あい - いつも更新を楽しみにしています。千冬と一虎、これからヒロインとどんな結末が待ってるのかとても楽しみです (2022年11月26日 16時) (レス) @page39 id: c280eab537 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：神奈月 | 作成日時：2022年11月1日 13時
