記憶の奥にいる存在 ページ1
家に帰ると、いつも通りペケが玄関で丸まって待っていた
千冬
「おまえ、最近ここが定位置になったな」
頭を撫でると、にゃーん、と小さく鳴いた
ペケがここにずっといるようになったのは、いつからだ？
前は俺が帰ってくると一緒にリビングに着いてきた
Aがここに来てた時も、よくここで待っていて…
千冬
「ペケ、おまえもしかして…
Aが帰ってくるの、ずっと待ってんのか…？」
ようやく気が付いた
ペケがここにずっといるようになったのは、Aと別れてからだ
もうここには来ないAを、お前はずっと待ってんのか…？
千冬
「ペケ、ごめんな
A、もうここには来ねぇよ…」
かがんで、ペケの顎下を撫でてやると、また小さくにゃーんと鳴いた
千冬
「おまえ、猫のくせに犬みてぇだな…
…考えてみたら、きっかけはおまえだったな
あの日、初めて取引を始めたとこで、偶然おまえを見つけて
ペケJにすげー似てて、そのまま引き取ってきて…
誰かに引き取られるのもな、なんて思ってたら、Aが店に来て、お前を見てたんだよな…」
そんか独り言をペケにしていると、ペケの耳が急にピンとなって、なにか感じたらしく、落ち着かない様子になった
ほんと、犬みたいだな…
玄関前で爪をカリカリし始めた
開けろってことか？
千冬
「ダメだ、外は今度連れてってやるから」
ダメだとわかったのか、今度はリビングに向かう
外に出せなんて、今までこんなことなかったな
ベランダへの掃き出し窓をカリカリしている
ここ3階だし、いいか、と思わず開けてしまった
すると、猛ダッシュで飛び出していき、隣の部屋のベランダへ移り、近くの木に飛び移って行った
千冬
「お、おい、ペケ！
どこ行くんだよ！」
外は真っ暗で、おまけに黒猫だ
どーやって探せって言うんだよ
俺は慌てて玄関に向かい、外に出た
エントランスを出ると、隣のマンションの入り口に女が立っていた
黒猫を抱えている
？？
「君は人懐っこいね
首輪してるから飼い猫かぁ…
ご主人が心配してるんじゃない？」
Aだ
仕事終わりか…？
A
「君、随分オシャレな首輪してるね…
青と緑、どっちの色にも見える石がついてるね
これ何色っていうんだろ…
…あれ…？この色、どこかで…」
千冬
「…Aっ…」
俺が名前を呼ぶと、Aはようやく俺に気がついた
A
「…ぁ、一虎の職場の…」
名前すら忘れられ、呼んでもらえないのか…
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神奈月(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。お話は佳境ですが、みなさんに楽しんでもらえるようにがんばります。 (2022年11月27日 7時) (
レス) id: d80d51a44f (このIDを非表示/違反報告)
あい - いつも更新を楽しみにしています。千冬と一虎、これからヒロインとどんな結末が待ってるのかとても楽しみです (2022年11月26日 16時) (レス) @page39 id: c280eab537 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神奈月 | 作成日時：2022年11月1日 13時
