守り抜く決意 ページ27
Aと付き合い始めてから、最初の休みの日
久しぶりに場地さんの墓参りにきた
さっきまで、誰かがいたようだ
活けられたばかりの花
線香はあと数センチほど残っている
A
「誰かがたくさん、お花持ってきてくれてる
全部は入り切らないから、残ったのは圭介くんの家に寄っておいてくればいいか…」
Aは抱えていた花の包みを開けて、少しだけ墓前に供える
線香をあげ、手を合わせる
しばらく流れる沈黙
ここに、誰かと来ることは今までほとんどなかった
1人で来て、現状報告して、気がすむまでここにいる
でも今日は違う
隣にAがいる
こんな日が来るなんて、思ってもいなかった
Aはかがんで手を合わせたままだ
きっと、いろいろ報告してんだろうな…
場地さん…
俺、Aのこと、大事にします
2人で少しずつ、前を向いて行けるように
Aが毎日笑っていられるように
だから、見ててください
A
「ねぇ、千冬…？」
千冬
「ん？」
A
「圭介くん、今、何を思ってるかな…」
千冬
『てめぇ、Aに手ぇ出してんじゃねぇ』
A
「うん、それ、言いそう」
Aはかがんだまま、小さく笑った
千冬
「場地さんがいたら、そう言って、俺、殴られっかな」
A
「うん、それはもう、容赦なく」
千冬
「だよな…」
でも、あの人のことだ
きっと、なんだかんだ言って、認めてくれんだろ…
千冬
「A、いつでも来れるからそろそろ行こうぜ
さみぃし、お前が風邪ひいたら場地さんに怒られる」
A
「うん、わかった…」
Aは立ち上がると、もう一度手を合わせた
A
「千冬、行こうか」
晴れやかな、穏やかな表情のAがいた
この表情を、守っていこう
Aが先に歩き出し、俺もそれに続く
その時、ザァーッと風が吹いた
よく知っている、懐かしい気配を感じる
墓石の方を振り返ると、あの頃のままの場地さんが立っているように見えた
東卍の特攻服を着て、両手をポケットに突っ込んで…
千冬
「俺、絶対にAのこと、守ってみせますから」
ニッと笑う口元にはトレードマークの八重歯
『千冬ぅ
Aのこと、頼むぜ』
千冬
「言われなくても、わかってますよ」
軽く頷いてくれた気がした
そして、スッと、その姿が消えた
幻か…
いや、多分、ほんとにそこに来てくれたんだろ、場地さん
風が止んで、あの懐かしい気配も消えていた
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神奈月(プロフ) - 凍ったライムさん» ご指摘ありがとうございます。気付かずに申し訳ありませんでした。早急に対応いたしました。 (2022年9月25日 16時) (
レス) id: 4cb915c5c4 (このIDを非表示/違反報告)
凍ったライム(プロフ) - コメント失礼します、オリフラついたままになっていませんか？ (2022年9月25日 15時) (レス) id: 946d60cede (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神奈月 | 作成日時：2022年9月24日 15時
