別れと再会 ページ28
早く帰れる日は、決まって千冬のペットショップに寄るのが日課になっていた
千冬と出会ってから、まだ1ヶ月も経っていない
なんだか、内容の濃い1ヶ月だった
ペットショップに寄ると、いつもと様子が違う
千冬と出会うきっかけとなった黒猫
その黒猫のケージには
A
「あ…、新しいお家が決まりました…」
ついにこの日が来てしまった…
一虎
「A、来てたのか」
A
「と、トラくん…」
一虎
「うぁ、なんだよ急に!
なんでそんな泣きそうになってんだよ!」
A
「こ、この子、飼い主決まったの…?」
一虎
「ん?
あぁ、その猫?
知らなかったのか?」
A
「知らなかった…
千冬、何も言ってなかったし…」
とうとう、お別れね…
何度ここに通っても、慣れてくれる気配はなかった
相変わらず、最後の最後までそっぽを向いている
打ち解けてくれなかったのが、悔やまれる
A
「新しい飼い主に、大事にしてもらうんだよ…」
君がここにいなかったら、私はここで立ち止まることもなく、千冬と出会うこともなかった
一虎
「新しい飼い主って…ーー」
トラくんが何か言おうとしたとき、奥から千冬が慌てて出てきた
千冬
「Aっ!
悪ぃけど、先帰っててくんね?
これ、部屋の鍵!
一虎くん、さっき話してたやつ、今日中に商品の発注かけてくんねぇと間に合わない!」
一虎
「お、おぅ…」
千冬は私に部屋の鍵を押し付けると、一虎くんと奥に行ってしまった
な、なんなの、今日は…
私は黒猫に最後の挨拶をする
A
「新しいお家に行ったら、幸せにしてもらうんだよ」
そういうと、初めて黒猫がにゃーんと鳴いた
千冬と出逢わせてくれて、ありがとう
千冬の部屋で、夕飯の支度をして帰りを待つ
そろそろ帰ってくるかなー、なんて思ってるとドアが開く音がした
千冬
「ただいまー」
A
「おかえり
ちょうど、夕飯の支度できたところ」
千冬
「ん、あぁ、その前にさ…」
千冬は一度玄関に向かい、すぐに戻ってきた
その手にケージを持って…
ケージを開けると、黒猫が飛び出してきて、千冬の腕におさまった
A
「ぇ、その子…」
千冬
「俺が飼うことにした
こいつが、いろんなきっかけだったから手放せなくなって…」
はにかむその姿は、なんか少年みたい
A
「名前、決まってる?」
千冬
「一つしか思い浮かばねぇんだ…」
「「ペケJ」」
2人で顔を見合わせて笑える
こんな日常が、愛おしい
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神奈月(プロフ) - 凍ったライムさん» ご指摘ありがとうございます。気付かずに申し訳ありませんでした。早急に対応いたしました。 (2022年9月25日 16時) (レス) id: 4cb915c5c4 (このIDを非表示/違反報告)
凍ったライム(プロフ) - コメント失礼します、オリフラついたままになっていませんか? (2022年9月25日 15時) (レス) id: 946d60cede (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神奈月 | 作成日時:2022年9月24日 15時