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もう果たされることはないと思っていた、圭介くんとの約束
少し違う形になったけれど、あの時の約束通り、私は圭介くんのゴキの後ろに乗せてもらうことになった
が、そもそも乗り方がわからない
あたふたしていると、彼は気付いたのか、笑い声が聞こえてきた
と同時に、両足が地面から離れた
A
「ぇっ…」
考える暇もなく、私の目線は千冬より高いところにある
千冬
「A、軽いなぁ」
そう言いながら、ニッと笑う千冬の顔
軽々と抱き上げられて、すとんっと、ゴキ後ろに座らされた
思考回路はすでに停止寸前
ちゃんと掴まってろよ、と言われたけど、どうしていいかわからず、再びあたふたしてしまった
そんな私を見て笑いながら、乗り慣れるまではこうだよ、と彼の腹部に腕を回させた
自分でもわかるくらい、心臓がドキドキしている
もしかしたら、千冬にも聞こえてしまってるんじゃないか、なんて思ってしまって…
A
「千冬、さっきから笑いすぎ…」
千冬
「だって、見てて面白いからさ
んじゃ、行くか
振り落とされんなよ?」
排気音が聞こえ、バイクが動き出すと、少し怖くなって、思わず千冬にしがみついてしまった
最寄駅に着く頃にはバイクの疾走感にも慣れてきた
家までの道のりをナビしていると、千冬は案外俺の家と近くなのかもな、なんて言った
A
「今右側に見えるあのマンションの前で停めてもらえる?」
千冬
「ぇ、あのマンション?」
A
「うん」
マンションの前でバイクを停めてもらう
そしてまた、降り方がわからない
でも今度は、私があたふたする前に、また千冬が抱き上げてくれてバイクから下ろしてくれた
A
「ぁ、ありがとう…」
なんだか気恥ずかしくてまともに顔が見れない
彼は、女の子にこうゆう風に接するの、慣れてるんだろうか…
ふとよぎったことを打ち消すように軽く頭をぶんぶん振った
千冬
「あのさ、Aの家って、ほんとにここ?」
マンションを指差す千冬
そうだよ、というと、まじかーと言いながら前髪をかき上げた
千冬
「俺の住んでるマンションの隣かよ!」
それを聞いて、私も開いた方が塞がらなかった
A
「隣って、そっち、だよね…」
同じ外観のマンションが2棟並んで建っている
千冬
「物件探してる時、Aの方のマンションはペット禁止だから、今住んでる方に決めたんだ…」
偶然が重なりすぎて、なんだかちょっと怖い…
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神奈月(プロフ) - 凍ったライムさん» ご指摘ありがとうございます。気付かずに申し訳ありませんでした。早急に対応いたしました。 (2022年9月25日 16時) (レス) id: 4cb915c5c4 (このIDを非表示/違反報告)
凍ったライム(プロフ) - コメント失礼します、オリフラついたままになっていませんか? (2022年9月25日 15時) (レス) id: 946d60cede (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神奈月 | 作成日時:2022年9月24日 15時