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「A…」



ぼそっと聞こえるか聞こえないくらいの声量で呟く。
そっと火照る頬を撫でてやるとくすぐったそうに体を身じろがせた。

彼女に触れられることがこんなに幸せだっただろうか。
今まで触れることが当たり前のように生活してきたけれど、実は奇跡に近いのではないかと錯覚し始める。
すると、



『んっ…つ、ぁさ…』


「…っ!A!!」



頬に当てている僕の手を弱い力ではあるがしっかり握っている。



『ここ、は…?』


「病院だよ、道端で倒れて運ばれてきたんだ」



だんだんと理解してきたらしく、意識もはっきりしてきた。
ひとまず先生が来るのをまっていると、



『ごめんなさい…いい子にできなくて』


「もういいよ。Aが無事では…なかったけど見つかってよかった。でもなんで僕を探してたの?」



『それは…』



Aが口ごもっていると、病室のドアが開き入ってきたのは白衣を着た優しそうな中年くらいの男性と先生を呼びに出て行った3人。



「失礼します。ああ、神崎さん目が覚めたんですね。」


『はい…。』



不安そうに僕の手をギュッと握る。不謹慎だけど可愛いと思ってしまった。
それを見つめていたたるとの顔がニヤニヤし始めた。

(あの野郎、後で覚えてろ!)

声には出さずとも、ちゃんと睨みつけておく。




「では、こちらでお話させていただいてもよろしいですか?」


「はい、お願いします。」


「ではまず神崎さんの風邪についてなんですが、神崎さんは風邪ではなく肺炎の症状が見られました。肺炎は風邪の症状とよく似ているので間違われやすいんです。ああ、でも安心してください。神崎さんの場合は早期の発見だったので入院とまではいきません。不謹慎ですが、ある意味運ばれてきて正解ですよ。」



素直に喜んでいいのかわからず、病室の雰囲気が微妙な空気になった。



「一応、今日は検査入院として一日だけ入院していただきたいのですが…」


「検査入院、ですか。A、どう…」


『やだ…!司とおうち帰る…!』



即答だった。しかもかわいいおまけ付き。
さっきよりもギュッと握られて、挙句の果てにはまだ起き上がってはいけないはずなのに僕に抱きついた。







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新しい作品です。↓オチはまだ未定。よかったら見てください。
【歌い手】音の魔法





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猫狐(プロフ) - 光芒さん» ご指摘ありがとうございます。外し忘れていたようです。すいません。 (2016年12月29日 11時) (レス) id: c91017cc56 (このIDを非表示/違反報告)
光芒(プロフ) - あの,この作品は2次創作ですよね?でしたらオリジナルフラグははずさないといけないのではないでしょうか?違ったら御免なさい。コメント失礼しました。 (2016年12月29日 5時) (レス) id: 86ba02c6f9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:猫狐 | 作成日時:2016年12月26日 2時

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