話したい14【桃】

286-1 ページ12

ASide


みんなでいくつか試作品を作った。
作ってみて量産しやすいものだったりを選別していく。
たくさん作るのは好き。
みんなで作るのはもっと好き。


「作ったもの衣装班に差し入れしにいくか！」

「いこいこ！」


いくつか切り分けて、別の教室で衣装を作ってるみんなに持ってく。
開けた瞬間こちらをバッと振り向いたしおんさん。
れいらちゃんを見て作成していた衣装を放って走ってくる。


しおん「れいらー！！！！！私には無理！」

れいら「あんた不器用だもんね。」

しおん「ひどいな。否定はしんけど。」


しおんさんの頭を撫でながら口にスイートポテトを突っ込んでいるれいらちゃん。
扱いがどんどん雑になってる気がするけど大丈夫なのかな？


「みんなもどうぞ！試作品。」

「まじで！？うまそう！！」


衣装を置いてみんな美味しそうに食べてくれる。
たくさんの人が一気に来るのはやっぱりまだ怖い。
思わずみんなの後ろに隠れてしまった。
あぁ、またやってしまった。


佐藤「Aちゃん、頂戴。」


隠れてた後ろからヒョイっと手が伸びる。
顔を上げたら佐藤さん。
嬉しくなってうんって頷いて差し出す。


佐藤「ありがと。」


ケーキを一切れとった佐藤さんは一口食べる。
次第に顔が綻んだ。
美味しそうに食べてくれるのは嬉しい。


「よかったね、Aちゃん。」

「嬉しそう。」


うん、嬉しい、って笑ってみせる。

佐藤さんが食べてくれたことで、ほんの少し自信がついた気がした。
だから自分から袖を引いてみた。
ねぇ、食べて？


隼「えっ！？…俺？食べていいの？」


うんって頷く。
食べて、って差し出す。


隼「…ありがと。いただきます。」


隼さんも笑顔で受け取ってくれた。


隼「ん。美味しい。」

しおん「あれれ〜？隼…」

隼「うるせぇ。お前は黙ってろ。」

しおん「酷っ。」

れいら「あはは〜…。」

286-2→←285-2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す