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Satomi side
マジで拒絶されたかと思った。
扉を閉めた瞬間、安堵に思わず頬が緩む。
自分の意思で外します、と言った彼女。
その瞳は、諦めという感情は一切感じなかった。
俺を選んでくれるの?
そう聞くよりも、拒絶されたわけではない安堵で情け無いくらいの反応をしてしまった。
そんな俺を、どこか嬉しそうに笑う姿はとても綺麗だった。
彼女から帰って来たパーカー。
相方と同じ匂いがするけれど、それよりどこか甘くて爽やかな香り。
Aちゃんの匂い…なんて、気持ち悪すぎる。
返ってきたパーカーを広げてハンガーにかける。
あの時彼女がこれを着ていた姿を思い出して、ぎゅっと胸が締め付けられる。
さ「やばいくらい好きじゃん、俺。」
誰もいない部屋で溢れた言葉に自分で嗤う。
彼女に返して欲しいと言われたポーチを手に取る。
中でかちゃりと音がする。
小さな小さな鍵。
彼女がこれを使う日、俺はきっと迷いもせず、その首筋に印をつけるのだろう。
さ「お待たせ。はい、これ。」
「ありがとうございます。」
受け取った彼女は、少し照れ臭そうに笑っていた。
君のその気持ちが"恋"でなくても、"好き"でなくても、ゆっくり、じっくり変えてあげる。
俺で良かった、って必ず思わせるから。
「それじゃあ。…次のヒートの時、来ますね。」
次のヒート…かぁ。
番を決めるのはそんな簡単に決めるものではないが、俺たちは運命なんだから、早くても遅くても何も変わらない。
だったら早い方が、Aちゃんの負担は軽くなる。
あと2ヶ月。
さ「うん。待ってる。」
短い様で長く感じるその期間。
それまで会えないのか?
もう少し側にー…。
そう考えていたら思わず行動していた様で、俺の右手はAちゃんの左手を掴んでいた。
「さとみさん…?」
さ「えーっと…あの…さ、この後どこか行くの?」
「え?」
さ「いや、可愛いワンピース着てるから。似合ってる。」
「別に…似合ってなんか…。」
照れを隠す様に口を尖らせて、でも赤い顔は隠せていないよ。
「…ちょっとショッピング行くだけです。」
さ「友達?それともころんと?」
「いや、1人で。」
それをきいて思わずチャンスと飛びつく。
さ「ねぇ、それ俺も行っていい?」
「え?」
本日2回目のその顔。
さ「ね、いいじゃん。デートしよ?」
デートって言ったら顔を真っ赤にしたAちゃんは顔を隠す様に俯いたまま、小さく頷いた。
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唯凛(プロフ) - ひとりもんじゃさん» コメントありがとうございます!遅くなってすみません(汗) 聞きました〜!とっても可愛らしくて、書く前に聞かなくてよかったー、と少し思ってしまったり(笑) 楽しんでいただける絡みが書けるように頑張ります!のんびり更新ですが、気が向いた時に覗きに来てください! (2021年5月20日 18時) (レス) id: 8ae6a0dc9c (このIDを非表示/違反報告)
ひとりもんじゃ - 昨日の公式生放送でさとみくんがお母さんと話してましたよ!?(知ってたらすみません汗)唯凛さんのこの話を真っ先に思い出しちゃいました(笑)これからもかわいい絡み楽しみに待ってます!頑張ってください! (2021年5月10日 21時) (レス) id: 50e43e2779 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - 緋菜さん» コメントありがとうございます!応援ありがとうございます。更新がとても遅くなってしまって申し訳ないです…。飽きずに楽しんでいただけるよう頑張ります。またみにきていただけると嬉しいです^_^ (2021年4月29日 19時) (レス) id: a48c991732 (このIDを非表示/違反報告)
緋菜 - いつも応援してます!とっても表現が可愛くて最高です (2021年4月22日 17時) (レス) id: d59f218d7b (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - 由乃さん» コメントありがとうございます〜!更新・返信遅くなってしまってすみません(汗) 一番子供っぽい渾名を考えた結果こうなりました(笑) (2021年4月22日 7時) (レス) id: 106fb9cf69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:唯凛 | 作成日時:2021年4月8日 22時