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受付について、兄です、と名乗ると、鍵のかかった小さな個室に案内された。
3つほど個室が並んでいるうちの真ん中の部屋。
その中で、布団を抱き寄せて顔を赤くして眠っているAがいた。
こ「A、帰るよ。」
「ん…にぃに?」
こ「そうだよ。…いろいろ言いたいこととか聞きたいこととかあるけどまず帰るよ。体調大丈夫?…そういえばあんまり匂いはしないけど。」
「ん…さっき抑制剤飲んだから効いてきたかも。」
そう言いながら身体を起こすが、まだ薬自体が効ききってないのか、はたまた副作用なのか、しんどそうなことには変わりない。
歩かせることを諦めて、Aをおんぶすると、ふわっとフェロモン特有の甘ったるい匂いが鼻腔をくすぐった。
こ「やっば…。近くに来ると流石にわかるね。」
「…ごめんね。にぃにこの匂い苦手だよね。」
こ「いや、苦手じゃ無くて酔うんだよ。」
家族間で肉体関係を持たないようにするためか、家族間に性差があってもアルファのヒート症状は引き起こされない。
とはいえ、フェロモン自体を感じないわけではない。
フェロモンの甘ったるい匂いは僕もアルファなので嫌いなわけではないが、酔うほどに甘ったるいのだ。
「ごめんなさい…。」
こ「だいじょーぶ。」
再び謝るAに声をかけ、部屋の外に出ると、案内してくれた人はいなくて、同い年くらいの女の人が立っていた。
「A、大丈夫?」
「あっ…先輩、大丈夫です。ご迷惑おかけしてすみません。」
先輩「それは大丈夫よ。気にしないで。1週間ゆっくり休みなさい。」
2ヶ月に一度起こるヒート症状に、きちんと1週間休暇をくれる職場って本当にあるんだ、と衝撃を受ける。
僕がよく見る話だと、結局もらえはしない、抑制剤を使って出勤みたいな話をよく聞く。
だから、ヒート状態のオメガが襲われる話が後を立たないのだと。
こ「ここはすごくしっかりしてるんですね。」
個室もそうだ。
おそらく職場でヒートになった時のため。
先輩「初代社長の奥様がオメガ性だったからって聞いてますけど…。わりとうちはしっかりしていると思います。」
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夢花(プロフ) - フェロモン怖ぁ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル (2021年4月11日 23時) (レス) id: 78d9e81099 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - りんさん» 確認ありがとうございます。私のわがままを押し付けるような形で申し訳ありません。ぜひ、ログインされました際にはご期待に添えていればなと願います。いただいたお時間無駄にしないよう少しでも楽しんでいただけたら幸いです。ありがとうございます。 (2021年4月11日 9時) (レス) id: 01cd285b43 (このIDを非表示/違反報告)
りん - 読ませて、いただきました。ご丁寧に有難うございます!ログインしてみようかなと考えています。他の作品も楽しみにしています!これからも、頑張ってください。m(_ _)m (2021年4月9日 1時) (レス) id: 8208016f57 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - まっちゃさん» お手数をおかけしてしまいまして申し訳ありません。私自身がまだあまりうらツクのシステムを理解しきれておりません故…。ページに入れた際には楽しんでいただけたら幸いです! (2021年4月8日 22時) (レス) id: 01cd285b43 (このIDを非表示/違反報告)
唯凛(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます!他作品まで読んでいただけて、とても嬉しいです。 続きページの件につきましては、コメントに収まり切らず、本ページ内でお話しさせていただいております。ご一読いただけますと幸いです。 (2021年4月8日 22時) (レス) id: 01cd285b43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:唯凛 | 作成日時:2021年3月14日 22時