話したい7【桃】

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「…子どもじゃないよ。私、子供でも妹でもないよ？」


上目遣いで俺を見上げる。
拗ねてるように口を尖らせてる。
何この小悪魔。

もらったバレンタインのプレゼントを脇において、頬を包む。

子どもじゃねぇならキスくらいしてやろうか。

…そんな勇気なくて、そのまま頬をむにむにと挟む。


さ「ふふっ。面白い顔。」

「むー…。」


拗ねたそんな顔も可愛くて。


さ「そういえば、一人で来たの？」

「ううん。ころちゃんが下で待ってる。連れてきてくれたの。この後他のメンバーにも渡しに行くから。」

さ「俺最初？」


ちょっとした期待。
最初に俺を思い浮かべてくれてたらいいなと思って。
まぁどうせ最初はころんだろうから、せめて他のメンバーより最初にもらいたい。


「うん！！さとみくんに最初に渡したかったから！」


ニコニコと笑うAちゃん。
あっ、やばい。
すげぇ嬉しい。


さ「そっ…か。」


上手く笑えてるだろうか。
ぎゅっと締め付けられるような痛みと、早くなる鼓動を隠すように頭を撫でる。


「もー…子どもじゃない。」

さ「…知ってるよ。」


手を退かしたらばっちり目があった。
くりくりの瞳に吸い込まれそうになる。
Aちゃんのため、Aちゃんに嫌われないために堪えなきゃいけないのに、抑えられなくなりそう。


さ「ほら、早く行かないと、ころん待たせてるんでしょ？」


かっこつかない。
情けない。
けど、俺の家。
締められた扉にAちゃんと俺だけ。
圧倒的優位な立場で、気を抜いたらまじで抑えられない。


「そうだ！他のみんなのとこも行かないといけないから…。」


そんな俺の気持ちなんて全く知りもしないで。


さ「Aちゃん、バレンタイン、ありがとう。めちゃくちゃ嬉しかった。」


せめて最後くらい素直に。


「えへへ。もらってくれてありがとう！」

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