短編集【stxxx】

ー ページ13

向かい合わせにして、沢山、啄むようなキスをしてくれる。
もっと、って腕を回したら、引き離された。


「あかん。あんまやり過ぎると仕事に戻れへんくなる。あんま可愛いことせんといて？」


また仕事の話。


「やだ。もっと。ちゅーして。」

「ほんま、可愛すぎて心配になる。」


そうだよ。
男の落とし方なんて知ってる。
ちょっと甘えた声、少しのボディタッチ、ガードが硬いようにみせかけて、少しだけ、2人の時だけ隙を見せれば簡単に堕ちるんだから。
私だって…まぁまぁモテるんだよ？
この間、会社の後輩くんに告白だってされたよ？
ねぇ、私が取られちゃうかもしれないよ？
もっと引き留めてよ。


「ねぇ、もっと！」

「わがままなお姫様。」


そう言って、深いキスをしてくれる。
もっと、もっと、って擦り寄れば、後頭部を抑えられて、離れられないくらいの距離。

そうだよ。
そのくらい。
縛り付けるくらいでいいの。

押し倒して？と私の方に引き寄せたら、抵抗するように離された。


「あかん。ほんまあかん。ずるいわぁ。」


そう。そうやって私に振り回されてよ。


「ジェルくんが私だけをみてくれてればいいんだよ。」


そうしたらもっと楽なのに。


「Aしか見とらんで？」

「ジェルくん、配信でそんなようなこといっつも言ってるから信用できない。」

「こんなにAのこと好きなのに？」

「…っ！もっと言ってくれなきゃやだもん！」


顔が近い。
じっと見つめられる。
やっぱりいつからか、私の方が劣勢になっていた。
でもまだ負けたくない。
もっと私を好きになって。
私が嫌だって言っても離さないくらい。

ねぇ

ほら



もっと

見つめて？



ー・ー・ー・ー・ー・ー

ナルシスト
かまってちゃん
そして可愛い

はい、大好物です。
もう何もいうまい。


元ネタ曲が気になる方は、ナルシスト かまってちゃんと、最後の2文を検索かけてみたら題名が引っかかると思います。が、シングルじゃないから音源あったかな…？ライブ映像はようつべで多分あったはず。

黄→←ー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す