第三十二話 考察 ページ35
『…天気がおかしくなる時って、どういう可能性が考えられますか？』
日本にいた頃なら、地球スケールで異常気象が起こっていたはずだ。エルニーニョとラニーニャが時折ではなく交互に断続的に起こるようになってしまったりだとか、水温上昇による大型台風の多発とか。
ci「んー、神の怒りに触れた時とかやなかったっけ？」
tn「せやなぁ。神罰？が云々みたいな」
ふーん。我々国はそもそも宗教無所属だから、そういうのがないんだろうな。たぶん。
『要するに、聖女様を粗放的に扱ってるから…神がお怒りになった、と？』
ci「そうなんやろな…"聖女"が言う事聞かんからって、粗暴にしたからやない？」
『ふぅん』
難しいな、何か1つを絶対的な存在として崇拝するっていうのは。月奈、天気とか操れるんだ…もう人外じゃん。魔導師じゃん。
tn「おまけに、a国周辺は害獣・害虫の被害が増えとる。それだけ聖女がストレス抱えてフラストレーション溜めとるって事なんやろ」
トントンさんが、何故か私を見つめながら言う。そんな見られても何も出ませんよ。
『自分の幸せのために、かつての友人を殺そうとする人間が、ですか？』
冷たい光を放った目で情なく笑ったあの恐ろしい顔をしていた月奈が、ストレスだって？そんなおふざけは空想の中だけで十分だ。
『あんなの聖女様ってより、悪魔に近かったですよ。もしくは死神に毒された堕天使とでも形容しましょうか』
乾いた笑いをして鼻を鳴らす私の肩に、チーノがそっと両手を置く。
ci「落ち着けA、冷静さを失ったらあかん。頼りになるのは感情やない、データや」
怒られているのではなく、優しく諭されるような感じ。少しムズムズするが、私はひとつ深呼吸して心の波を整えた。
『うん、ごめん。続けよう』
チーノって案外リアリストだよな。そんなことを思いながら、手元の資料に目を落とす。
『…チーノ、〈皇宮にて聖女の調査が行われている〉って何？』
今更調査もクソもあるか。
ci「あぁ」
チーノがちらっとトントンさんの方を見る。トントンさんは眼鏡の奥の瞳を曇らせ、少しだけ顎を引いた。
tn「疑う声が上がっとるっていうたやろ。簡潔に言うと、a国の皇族たちは必死やねん。聖女の存在を証明するのに」
聖女にはある時ふいに覚醒する祈りの力があるのだという。エーミールさんに教えてもらった。トントンさんいわく、月奈はまだそれが目覚めないらしい。時期的にはとっくに花開くはずなのに。……だとすれば。
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あくら、 - 久しぶりに夢小説読んだんですがゆうり様の作品最高すぎですね(*´꒳`*) (2022年6月1日 17時) (
レス) @page3 id: d4efbb01c8 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 楽しく読まさせていただきました。インクではないですが、洗剤で紙に文字を書き、乾燥させてから書いた紙を濡らすと文字が浮かび上がるそうですね。 (2022年4月8日 21時) (レス) id: 1e5fccc68e (このIDを非表示/違反報告)
カナリア - 安らかに眠れwwとびらww (2021年1月10日 11時) (レス) id: e6d62c8537 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 毎回夢ちゃんの葛藤、そして皆からの愛情が伝わって胸きゅんが止まりません...これからも応援してます！ (2020年12月24日 12時) (レス) id: 3009402549 (このIDを非表示/違反報告)
しぇけなべいべ(プロフ) - 少し。ほんの少し。書き方変えましたか......??まぁ。それは置いといて。毎日更新ありがたいです.....!!!!! (2020年12月20日 23時) (レス) id: a746dec877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうり
| 作成日時：2020年12月7日 19時
