第三十話 変哲 ページ33
『…ん？これ、国庫の資料だったりしますか？』
まず目についたのは、数字と文字が入り交じった表のようなもの。ゴツい家計簿みたいだ。
tn「ようわかったな。a国の国庫…ってよか、正確には皇宮の簿帳やな。まあ何て言うか…変、やろ。明らかに」
パラパラとそれを捲っていくと、ここ4ヶ月ほどの支出が異様に多いことがすぐ見て取れる。
『…随分と出ていってますね、金。よく尽きないなと思いますが』
流石は広大な土地を持つ皇国とでも言おうか。税金による収入があるのだろう。
ci「これ、あれやろ。皇太子殿下が"聖女"に貢ぎまくっとるのに関係しとるんちゃう」
tn「まあそういうこっちゃろな」
トントンさんは気怠そうに紙束を見つめ、伸びをした。
tn「あの傲慢殿下、"聖女"の気を引くんに必死らしいからな。毎度毎度無駄に高い物贈っとったら、そら財源を圧迫もするやろ」
……よく飽きずに続けられるよな、あの皇太子野郎も。その粘り強さだけは褒めてやりたいくらいだ。
『どうでもいいですけど、少なくとも皇太子野郎は聖女様の好みではないと思いますね』
それを聞いたトントンさんとチーノが同時に吹き出す。だってそうなんだもん、むしろ月奈はああいう自己中オレサマ脳筋タイプは苦手だったはず。
『…話逸らしてすみません。この皇宮の金銭って圧迫されてるんですか？』
尋ねると、トントンさんは頷いてそこここの数字を指し示す。
tn「物々交換が多い市の商品とは違って、ブランド物は貨幣で遣り取りされとるんや。あそこの皇太子殿下は箱入りやからな……搾取…は人聞きが悪いか、多少なり嵩増しした値段を要求してもホイホイ買ってまうんやろな」
『蝶よ花よで育てられたと』
皇太子なら次期皇帝になるための教育とかで習うだろ、物品の価値鑑定の重要さくらい。どんだけ頭悪いんだあいつ。
ci「A、それ女の子に使う言葉やない？」
『え』
…人のこと言えなかったわ。咳払いをひとつして、恥ずかしさを紛らわす。
『ともかく、国庫がマズイ状態にはある訳ですね？』
tn「せやな。世間知らずの皇子様なんやろ。"聖女"だって、要らんモン貰っても困るやろうに…」
それはそうだ。私はこくりと頷いた。
『財務官とかいないんですか？』
tn「居るはずやで。ただ、皇族には逆らえんのやろうな」
『皇帝陛下のお咎めとかないんでしょうか』
tn「今上陛下は楽観的かつ息子愛が強いねん…大方わかるやろ？」
『……はい』
月奈はさながら傾国の花ってか。
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あくら、 - 久しぶりに夢小説読んだんですがゆうり様の作品最高すぎですね(*´꒳`*) (2022年6月1日 17時) (
レス) @page3 id: d4efbb01c8 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 楽しく読まさせていただきました。インクではないですが、洗剤で紙に文字を書き、乾燥させてから書いた紙を濡らすと文字が浮かび上がるそうですね。 (2022年4月8日 21時) (レス) id: 1e5fccc68e (このIDを非表示/違反報告)
カナリア - 安らかに眠れwwとびらww (2021年1月10日 11時) (レス) id: e6d62c8537 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬(プロフ) - 毎回夢ちゃんの葛藤、そして皆からの愛情が伝わって胸きゅんが止まりません...これからも応援してます！ (2020年12月24日 12時) (レス) id: 3009402549 (このIDを非表示/違反報告)
しぇけなべいべ(プロフ) - 少し。ほんの少し。書き方変えましたか......??まぁ。それは置いといて。毎日更新ありがたいです.....!!!!! (2020年12月20日 23時) (レス) id: a746dec877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうり
| 作成日時：2020年12月7日 19時
