第十九話 嫌いなもの ページ21
???「馬鹿にしとんか、おぉん！？」
まんまと私に着いてきて街並みもどきの方へ来た金髪さんが、サッと壁を登りこちらへ向かってくる。ゾムさんとショッピさんの動きを知っているから侮っていたつもりはないが、やっぱり金髪さんも速かった。
『そうこなくっちゃ』
ひらりと身を躱して隣の屋根に移る。視界の端に金色がちらついた瞬間には、塀を足場に跳んでフェンスを乗り越え、雨樋を蹴ってトタン屋根に登る。
???「チッ、すばしっこい奴やな」
金髪さんは悔しげに剣を持ったまま追ってくる……楽しい。素直にそう思った。足が重たくなってきたのはわかっているけど、この人との
???「男なら正々堂々勝負せんかい！逃げないんやろ！？」
『勝算が立たないから考えてるだけです』
???「だぁぁあ生意気で腹立つのぉホンマ！」
腹減ったな。一足飛びに建物から建物へと跳びながら思った。でも…どうせ反撃出来ないならへばってくれるまで避けるしかないんだし、体力が尽きるまで走るのみだろうな。
???「おい」
追いかけっこの街の中。金髪さんにおもむろに声をかけられる。
『何でしょうか』
???「お前は何者なんや？」
迷いながら答える。
『a国の聖女召喚に巻き込まれたあげく親友を取られた一般人、ですかね』
???「嘘つけぇ！一般人がこんな自在に飛び回れる訳ないやろ」
あ、別にこの世界ではこれがデフォとかではないんだ。それは誤算だったな。
『体を動かすことだけなら人並み以上には』
張ってきたふくらはぎをﾊﾟｼﾝと叩き、剣を躱した勢いで次の建物に飛び移る…流石に体力の限界が近いかな。
???「俺はな」
金髪さんが剣を振りかざして飛び込んでくる。フェンスに手をかけ、気を抜いたらすぐにでも崩れそうな膝を労って地面に降りる。
???「親の愛を一身に受けて育ったようなガキほど嫌いなもんはない」
スタン宙で隣の低い建物に降り立つ。
???「純粋なフリしておいて、簡単に裏切りよる。お前もどうせその仲間やろ」
壁を駆け登りながらふと思い出す。何だろ、この感じ………そうか。私は振り向いて碧眼の両目を見つめた。
『似たようなものですね。僕は家族愛なんて信じてません』
フッと笑った刹那、頭に鈍い衝撃が走る。歪んだ視界には驚いたような金髪さんの顔が見えた。ぐらりと体幹が揺らぎ、私は足を踏み外した。遠くなる意識の中、ゾムさんが私の名を叫ぶ声が微かに聞こえていた。
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RURU - あああああ好きです(好きすぎて発狂) (2021年1月10日 15時) (
レス) id: 4226f6833e (このIDを非表示/違反報告)
ゆずの(プロフ) - 今まで読んできた中で総統の目を「ルビーを王水に溶かした」って表現してるの 初めて 好みすぎた (2020年11月23日 22時) (レス) id: d277476c39 (このIDを非表示/違反報告)
ちびごん1 - あ、これ、聖女が夢主ちゃんパティーンですね！！うん！知ってた！！(長年の勘(約五ヶ月))月奈ちゃんが限界オタクなら辛いんだろうな(スマホを持ってない場合)うおおおおお！早く二人が再会して元の世界に戻れることを祈りまああああす！(近所迷惑) (2020年10月28日 2時) (レス) id: 4fdb0260c0 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 主さんがジャンピングスライディング土下座をするならば私はジャンピングスライディング焼き土下座ダ！！（何競ってんねん（主さんすみません）） (2020年10月27日 21時) (レス) id: 409dd9da63 (このIDを非表示/違反報告)
暇人な名無し(プロフ) - レイさん» それな！？(ジャンピング&スライディング土下座) (2020年10月27日 20時) (レス) id: d7b6c8461a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうり
| 作成日時：2020年10月18日 10時
