気づかれたいような、隠したいような ci side ページ6
涼しい顔で家へと入っていくA先輩を見て、ちょっぴり寂しさに駆られる。
「ほんまに意識されてないんやな…」
ここまで手応えがさっぱりだと、流石に心が折れそうになる。自分の鞄の中の折り畳み傘に目をやって、ため息をついた。
「せっかく持ってないふりまでしたのに」
もちろん傘は持っていた。天気予報ちゃんと見てたしね。あれは、相合傘をしたいがための嘘。
「まあええか。これで、グルッペンの言った"ハーレム大作戦"は俺が一歩リードやな」
先輩の傘を、くるくる回してさしながら呟く。
"ハーレム大作戦"───グルッペンが提案した、俺たちの真剣勝負。部室でA先輩があの乙女ゲームの展開を読み込もうと真面目に画面を見つめていた時に、俺らにグルッペンからメールが回ってきた。内容はこうだ。
《諸君、あの突飛な少女は俺たちにとってよい機会を持ってきてくれた。先程、俺は"ハーレム大作戦"と言ったな。あれはAへのカモフラージュであり、ある意味では的を射ている。正確に言うと逆ハーレムということになるな。あのゲームでは、どうやらヒロインと攻略対象が出会うのはおしなべて悪役と一緒にいる時だ。つまり、あの少女の言うように、このゲーム内のイベントがリアルで起こるのならば、その時は必ず俺らのうち誰かがAの側にいるということだ。Aは恐らく、「ハーレム大作戦=ハーレムエンドを目指す=自分もヒロインに好かれるようにする」だと思っているはずだ。だからこそのこのカモフラージュだ。要するに、ヒロインに攻略されようとしているAを俺たちが攻略するのがこの作戦の真意だ。ここにいる者たちは少なからず、Aに気があるというのは知っている。Aがこの「ゲーム」が終わるときに誰を選ぶのか、勝負してみないか。》
いかにもグルッペンらしい、長尺で邪悪な文章だ。正直、先輩を「ゲーム」…俺らのヒロインとして扱うのは若干気が引けるのだが、天然なのか気づかないフリなのか、全く俺らに靡かない先輩を振り向かせたいのもまた事実だ。
「気づいてくれへんかな…いや、気づかれない方がええんかな」
花柄の傘を回しつつ、帰路に1人歩いていく。
「先輩はきっと、いい感じに悪役やろうとしてどうせ出来ないんやろな」
さっきもそうだが、先輩は基本世話焼きで優しい。そんな人が悪役なんて出来るわけないのだ。
「ヒロイン…なぁ。あの子よりA先輩のがよっぽど可愛いのに」
そう曇天にぽつりと独り言した。
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ゆうり(プロフ) - 梟の飢ル雨 キルウさん» あらーーありがとうございます！！投げキッスで返しますね(？) (2020年11月18日 22時) (
レス) id: 5789c02b18 (このIDを非表示/違反報告)
梟の飢ル雨 キルウ(プロフ) - あぁー…好きです。（フラれる自信アリ） (2020年11月18日 21時) (レス) id: ef849ddc1e (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり(プロフ) - ゆずのさん» ありがとうございます！！うあーー途中で人差し替えたら台詞変えるの忘れてました……修正してきます (2020年10月18日 20時) (レス) id: 5789c02b18 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずの(プロフ) - 素敵な作品で、楽しく読ませていただいてます！ただ、htさんは関東勢なので関西弁話しているのは違和感…。 (2020年10月18日 20時) (レス) id: d277476c39 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり(プロフ) - 暇人な名無しさん» なるべくコンスタントに更新していくつもりですので、気長にお待ちいただけたらと！頑張ります！！ (2020年10月13日 17時) (レス) id: 5789c02b18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうり
| 作成日時：2020年9月30日 19時
