3-5 ページ20
tn「まあまあ、どっちにしろチューニングはした方がええよ、そしたら今よりもっと綺麗な音が出るはずや」
トントンが柔らかな笑顔でヒロインちゃんに言う。流石だぜトントン、優しさが滲み出てる。オカンじゃん。
『トントンママ一生養ってくれ』
ピアノを弾く手は止めずに、ふざけて声をかけてみる。このくらいならシナリオになくても許されるでしょ、
tn「その言い方だと俺のオカンが養うみたいやん」
『確かに。表現間違えたわ』
ってかトントン自身は私を養うことに抵抗はないんかーい。そう心の中でツッコミを入れる。
「あの、チューニングのやり方教えてもらってもいいですか！」
ヒロインちゃんが私たちの会話を遮るように声を上げる。邪魔してごめんって。悪気はちょっとしか無かったってば。
tn「あ、あぁ別にええけど」
トントンがこくりと頷く。ヒロインちゃんは嬉しそうな顔で
「ありがとうございます！」
と言った。トントンは丁寧な仕草でヒロインちゃんにギターのてにをはを教えている。
『うんうん、非常に癒し』
体躯はガッチリしていて男らしいけど、物腰が柔らかくて紳士的、優しい笑顔のトントンに、ふわふわした雰囲気をもつヒロインちゃんはよく合ってる。やっぱ美男美女のNLサイコー。
『どいつもこいつも、ほんと絵になるんだから。やっぱ優遇されてんな、攻略対象』
私はこのゲーム、どう足掻いてもハードモードだけどな！！1人で色々考えながら、『河口』の伴奏の練習を続ける。確かこの辺りだったかな、攻略対象と仲良く話すヒロインが気にくわない悪役が、わざとピアノを大きく弾き鳴らして向こうの集中力を削ぐシーン。
『でもさぁ、音を大きく出すのにも技術がいるんだよなぁ』
譜面台に向かって小声で文句を言う。ピアノの音は、ただがむしゃらに鍵盤を叩けば大きくなるっていうモノじゃない。力任せに弾いたって、単調な死んだ音しか出ないからね。私にそこまでの技量はないんだよな。そう思いながら、出来る限りやるしかないと指をめいっぱい広げて和音を響かせる。
「……」
ピタッと2人の動きが止まった。成功か？
tn「Aめっちゃええ音出すやん」
『違う、私の求めてた反応じゃない』
おい"ゲームの強制力"、こういう時こそ仕事しろよ。
「あの、気に障りましたか」
ほんとはここ「後から来ておいて邪魔するとか迷惑」的な台詞だったと思うんだけど、私のが先に居たからな。すまんち☆
『別に』
さあ、これに続ける言葉が大事だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1151人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうり(プロフ) - 梟の飢ル雨 キルウさん» あらーーありがとうございます！！投げキッスで返しますね(？) (2020年11月18日 22時) (
レス) id: 5789c02b18 (このIDを非表示/違反報告)
梟の飢ル雨 キルウ(プロフ) - あぁー…好きです。（フラれる自信アリ） (2020年11月18日 21時) (レス) id: ef849ddc1e (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり(プロフ) - ゆずのさん» ありがとうございます！！うあーー途中で人差し替えたら台詞変えるの忘れてました……修正してきます (2020年10月18日 20時) (レス) id: 5789c02b18 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずの(プロフ) - 素敵な作品で、楽しく読ませていただいてます！ただ、htさんは関東勢なので関西弁話しているのは違和感…。 (2020年10月18日 20時) (レス) id: d277476c39 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり(プロフ) - 暇人な名無しさん» なるべくコンスタントに更新していくつもりですので、気長にお待ちいただけたらと！頑張ります！！ (2020年10月13日 17時) (レス) id: 5789c02b18 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうり
| 作成日時：2020年9月30日 19時
