保育代行四十二話目 ページ47
手を握って立てという意味だろうか。首を傾げて居ると、捏島は「あれ？」と言う様に目を少し見開いた。
「体固まってたりとかしないん？」
『ううん、平気』
「そ、そか…」
ならええんやけど、とか言いながら恥ずかしそうに行き場を失った腕をブンブンと振る捏島は、何だかいじらしくて微笑ましい。思わず、笑いながらその手を捕まえてしまった。
「へっ！？」
『あははっ、じゃあ折角だし台所までお願いしようかな』
捏島は驚いた様に一瞬固まってから、ボッと真っ赤になりながら咳払いをする。
「〜〜〜っ、しゃーないから俺がエスコートしたりますやん」
『ふふっ、それは光栄』
何故家の中で捏島に手を引かれているのかは甚だ不思議だが、悪い気はしない。寧ろ、照れた様な姿の珍しさと自分の温かくなる気持ちで少しお腹いっぱいなくらいだ。
「…ほんま、狡いわ」
『え、何て？』
「何でもあらへん」
ボソッと呟かれた言葉は良く聞こえなかったが、耳まで赤くしている捏島の男子らしい骨ばった手に、ドキリと心臓が高鳴る。きっと今の私は頭から湯気が出そうな程に熱くなっているから、それがバレない様にとそっと捏島の広い背中に顔を隠して歩いた。寝室から台所までの距離が、行きよりも妙に長く感じる。
「お、ええやん」
『ね。良い匂い』
漸くオーブンに辿り着いて中を覗けば、程良く焼き色の付いたクッキーが取り出されるのを今か今かと待っていた。鉄板を引き出してシートごと台の上に置けば、フワッと香ばしい香りが鼻を通る。横に居る捏島が、パアッと顔を輝かせるのが見えた。
「美味そうやな」
『捏島、猫舌？』
「いや平気や」
『なら味見って事で』
そう言いながら、焼け具合を確かめるついでに一つを手に取り半分に割る。
『焼き立てお菓子、おひとつどうぞ』
「やった！ありが…んむっ！？」
他意は無かった。無かったのだが、つい流れで捏島の口にクッキーを突っ込んでしまった。つまり、「はい、あーん」状態。
『ご、ごめん！舌火傷とかしてない？』
彼女でもあるまいし云々以前に、熱を帯びた物を勝手にこちらのタイミングで相手の口に入れるという行為は問題だ。慌てて謝ると、捏島は思いっきり首を左右に振りながら言う。
「や、大丈夫やで…その、美味いです…はい」
『ごめん危険な事して』
「ほ、ほんまに大丈夫やから」
ぎこちなく笑った捏島は、「あいつら起こして来るわ」と台所を走り去って行ってしまった。……これは、やらかしたかも知れない。
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ゆんゆん - っはぁぁぁぁぁぁ〜……日々のストレスが浄化される… (2022年8月27日 1時) (
レス) @page19 id: 92722fc768 (このIDを非表示/違反報告)
ハレル - ｴｯ､ﾏｯマ・ジ・デがわいぃぃぃぃ (2021年10月16日 10時) (レス) @page16 id: 58776279bf (このIDを非表示/違反報告)
ゆきだるま(プロフ) - ちょ、え、あ、んぇ？可愛いんですけど、え、可愛いんですけど、ひええ(死) (2021年7月3日 13時) (レス) id: 0688babc69 (このIDを非表示/違反報告)
羽具(プロフ) - 可愛すぎる！！knさん可愛すぎる！！かわいいのいっぱい死ぬ！！！ (2021年7月3日 12時) (レス) id: a3fd2bf9c9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 最 ＆ 高 (2021年6月28日 23時) (レス) id: 12efeb13d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうり
| 作成日時：2021年5月30日 18時
