その6 ページ7
『親父、どういう意味？』
「……らっだあの野郎がな、俺の弱みに付け込んで来たんだよ」
『それ私の中学時代の話？』
「うぐ…」
成程当たっているらしい。私は深い溜息をついて、『まあ良いや』と呟いた。
『要はお前、親と上手くいって無いんだろ』
「あ……おん」
『ま、そういう事も在るよな』
大変面倒だが、放っておいても可哀想だし私も後味が悪い。あのアニキも酷い事してくれるもんだ。教師としてあれはどうなんだと心の中で悪態をつきながら、父に『解った』と告げる。
『親父』
「あ？」
『らだ兄は、私に頼んだんだよな？』
「そうだが」
『なら良いや。じゃあ私の好きにさせてもらう』
「……程々にな」
はいはい、と適当に応えて部屋を後にする。パタパタと不安げに着いて来る鳥井に『取り敢えず私の部屋行くから』と言って、襖の外で待っていたシャオ兄に『ポテチとレモンスカッシュ持って来て欲しい』とお願いした。
「………なあ。お前の家って、そういう…？」
聞きづらそうにチラッとフードの向こうから私を透かし見る鳥井が何だか滑稽で、ケラケラ笑いながら答える。
『ふははっ、お察しの通り“そういう家”。ヤクザだよ、ヤクザ。私は極道のトップの一人娘って訳』
「……ヤクザ」
鸚鵡返しする様に私の言った言葉を反芻する鳥井は、「お前、学校とは全然ちゃうやん」と口を尖らせる。お堅いのは嫌いなんじゃ無かったのか、と思いつつ、私はくっと片眉を下げながら訊いた。
『…引いた？』
鳥井はブンブンと勢い良く首を横に振ると、「そんな事無い！」と声を張る。……こいつの大きい声、初めて聞いたな。
「吃驚は…したけど……その」
『うん』
「別にええと…思う。学校の時みたいにきっちりしとるより、話しやすい…と、俺は、思うで」
『そ。なら良かった』
ニッと笑顔でそう言えば、鳥井は居心地悪そうにもぞもぞと足を動かしながら尋ねて来る。
「…ええの？俺、部外者やのにこんな簡単に家入れて」
『あー、それね』
らだ兄の奴、鳥井にまともな説明をしなかったんだろうか。私は人差し指を立て、それを振りながら鳥井に話す。
『私はらだ兄…猿山先生から、お前の転校理由を聞いた』
「っ！？」
弾かれた様に顔を上げた鳥井を『まあ待て』と制し、私は頬杖をつきながら訊きたかった事を口にした。
『で、実際は何があった？』
「…え」
『暴力。理由があんだろ、言えよ』
それを聞くと、鳥井は一瞬泣き出しそうな顔をして、すぐに唇を引き結んだ。
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ミックスベリー - 完結おめでとうございます！最高でしたぁぁぁ！！ (2021年9月25日 19時) (
レス) @page49 id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
千寿(プロフ) - 完結おめでとうございます〜！！前作も毎日更新を待ってるくらい好きだったんですが、今作もめちゃくちゃに幸せで最高でした！！！！幸せになれ〜という気持ちでいっぱいです！！！ありがとうございます！！ (2021年9月25日 13時) (レス) @page49 id: d8421960c5 (このIDを非表示/違反報告)
ミックスベリー - 神作品をありがとうございます。いつも拝見されていただき、ニヤついております。 応援しております！ (2021年9月15日 21時) (レス) id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
オタクのオクタ - あっ結婚してください (2021年9月2日 5時) (レス) id: 748c39705b (このIDを非表示/違反報告)
はぁな。 - うわぁぁぁぁぁぁぁ何これ無理！神作品すぎません！？…すみませんお騒がせしました。無理しない程度に更新頑張って下さい！ (2021年8月22日 8時) (レス) id: cdc92f829b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうり
| 作成日時：2021年8月20日 20時
