その45 ページ46
「や…く、ざ？」
『はい。家業ですので』
にこやかに答えたAは、ピシリと石化した様に固まった俺の両親に向かってさらに言う。
『もし、お義父様やお義母様がご自身の安全について不安があるようでしたら、それは心配ご無用です。我が家の次期当主として、お二人を生涯護る事をお約束致します』
「お、お嬢！！そんな適当な…」
『適当？心外ですね』
うわぁ……その丁寧すぎる敬語、妙に背筋がゾワッとして嫌やなぁ。違和感に思わず身震いすると、Aはいつもの様にニヤリと笑って俺を見た。
『言っただろ、ゾム。私が、お前の居場所になってやるって』
「ひょえ……」
俺ではなく、俺の隣でオカンが奇声を上げて口許を覆う。なんちゅー反応やねんそれは。Aは、『と、言う事で』と俺の両親に向き直る。
『誓います。希さんを、必ず幸せにしますと』
真剣な、強い眼差し。…そうや、俺はこの強さに惚れたんやったっけな。チラリと俺を横目で見てくる両親に、俺も頭を下げて言った。
「……俺からも。俺、おじょ…Aさんの側に、堂々と立っていられる男になりたいねん」
「…希、本気か？」
「当たり前や」
ずっと家出しとった奴がとやかく言うても全然説得力なんて無いかも知れへんけど、それでも俺はきちんとこの人達に話を聞いて欲しかった。俺の、唯一無二の生みの親として。俺の、本来の「家族」として。
「前、勝手に家飛び出したのは…ごめん、なさい。学校で問題起こした息子なんて恥やと思ったんかも知れんけど、その…理由、一応、あってん。信じてくれなくてもええ。…お嬢…Aさんが、本当なんだと捉えてくれればそれだけで俺は救われる。………独りぼっちでどうしようもなかった俺を、助けてくれた人だから」
真っ直ぐに二人を見つめれば、気圧された様に黙られる。Aの方を見れば、不意にバチリと視線が交錯した。
「……お嬢」
『何だ』
「…好きや」
何気にかなりの勇気を出して言ったつもりだったのだが、Aは事も無げにフッと笑って立ち上がった。
『とっくに知ってる』
「雰囲気、台無しなんやけど」
『今更だろ』
にひひ、と悪戯っぽく笑うAは、ふと組長の方を振り返って一言、『親父』と発した。組長はゆっくりと目を開けると、俺の両親を見据えて言う。
「と、言う訳なのですが……私は、特に反対する理由はありません。娘の決めた事なので。如何です？」
まあ、かくして我が家の面々は頷くしか無くなったという具合だった。
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ミックスベリー - 完結おめでとうございます！最高でしたぁぁぁ！！ (2021年9月25日 19時) (
レス) @page49 id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
千寿(プロフ) - 完結おめでとうございます〜！！前作も毎日更新を待ってるくらい好きだったんですが、今作もめちゃくちゃに幸せで最高でした！！！！幸せになれ〜という気持ちでいっぱいです！！！ありがとうございます！！ (2021年9月25日 13時) (レス) @page49 id: d8421960c5 (このIDを非表示/違反報告)
ミックスベリー - 神作品をありがとうございます。いつも拝見されていただき、ニヤついております。 応援しております！ (2021年9月15日 21時) (レス) id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
オタクのオクタ - あっ結婚してください (2021年9月2日 5時) (レス) id: 748c39705b (このIDを非表示/違反報告)
はぁな。 - うわぁぁぁぁぁぁぁ何これ無理！神作品すぎません！？…すみませんお騒がせしました。無理しない程度に更新頑張って下さい！ (2021年8月22日 8時) (レス) id: cdc92f829b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうり
| 作成日時：2021年8月20日 20時
