その44 ページ45
何とも言えない重苦しい沈黙が、両家の間に流れている。……いや、どうしよ。ほんまどうすれば良いん？これ。組長は腕組んで目ぇ閉じて黙っとるし、姐さんはずっとニコニコしとって余計怖いし、Aは振袖着てきっちり決めとる筈なのに妙に威圧感ある顔付きやし、俺の両親はずっとイライラしとるし。隣に座っとるオカンがさっきから俺の方見てはめちゃくちゃおっかないオーラ出てくるん、耐えられへんねんけど。顔合わせって、こんなしんどいものなん？とても結婚しようとしてる様には思えないわ。
「…それで、急に呼び出されたかと思えば、何でしょうか？うちの愚息が何か？」
「いえ、娘がお宅の息子さんについてお話があるそうで。どうせなら親御さんにも聞いて頂きたくて、お呼びしました」
オカンの問いに、姐さんが笑顔で返す。俺、組の中で一番強いのは実は姐さんやと思ってるんよ。組長、尻に敷かれとるし。だから、この笑顔の裏で何考えとるか判らんのめちゃくちゃ怖い。ほんまに怖い。ビクビクしていると、オカンはいきなり俺を見て声を荒らげ出した。
「希！あんたねぇ、何ヶ月も行方不明になってたと思ったら、こんな立派な家を持った方にお世話になってたって言うの？信じられない！」
「や、立派なって言うか…何て言うか……」
「あらあら希君、言っちゃっても良いのよ？どうせ、いつかバレるんだし」
「え…や、俺からカミングアウトするのはちょっと……良いんすか？」
「勿論」
止めに入る様に姐さんがそう言う。…いや、言えるか！！ヤクザなんですこのお家、とか言える訳無いやろ！？うんうん唸っていると、痺れを切らしたのか今度はオトンが訊く。
「あの、どういったご要件で？先日受けた連絡では、希がこちらに居候しているとしか聞いておらず」
声が硬い。オトン、絶対ブチ切れとるわ。後で殺されるんやないかな、俺。もうこの人らの横に座るの嫌や、誰か助けてくれ。そう思っていると、机の向こう側に居たAが唐突に立ち上がり、少しこちらへ近寄ってから綺麗な所作で最敬礼をした。こんな奴等に土下座みたいな姿勢取らんでええのに。
「な、何だね君h『息子さんを』」
オトンの声を遮ってパッと顔を上げたAは、酷く真剣な瞳で俺の両親を見つめて言った。
『息子さんを、私に下さい』
「へ？」
「は？」
まあ、そうなるやろな。呆気に取られている両親に対して、Aは二パッと笑った。
『ヤクザの娘でも宜しければ、是非』
……ああもう、最悪や。
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ミックスベリー - 完結おめでとうございます！最高でしたぁぁぁ！！ (2021年9月25日 19時) (
レス) @page49 id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
千寿(プロフ) - 完結おめでとうございます〜！！前作も毎日更新を待ってるくらい好きだったんですが、今作もめちゃくちゃに幸せで最高でした！！！！幸せになれ〜という気持ちでいっぱいです！！！ありがとうございます！！ (2021年9月25日 13時) (レス) @page49 id: d8421960c5 (このIDを非表示/違反報告)
ミックスベリー - 神作品をありがとうございます。いつも拝見されていただき、ニヤついております。 応援しております！ (2021年9月15日 21時) (レス) id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
オタクのオクタ - あっ結婚してください (2021年9月2日 5時) (レス) id: 748c39705b (このIDを非表示/違反報告)
はぁな。 - うわぁぁぁぁぁぁぁ何これ無理！神作品すぎません！？…すみませんお騒がせしました。無理しない程度に更新頑張って下さい！ (2021年8月22日 8時) (レス) id: cdc92f829b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうり
| 作成日時：2021年8月20日 20時
