その40 ページ41
『先に言っておくが、お前の親御さんに挨拶には行かないといけないからな？』
「…うん、解っとる」
『それはつまり、反対される可能性が有るって事だぞ』
「……おん」
『そして、お前がちゃんと親御さんと向き合わなければならないという意味だぞ』
「大丈夫。……多分」
しかも、形としては
『加えて、お前の親御さんは息子が一度学校で暴力沙汰を起こしたらそれを雑に扱う様な……まぁ、良く言えば潔癖な人間だ』
教育の責任放棄、とも言うがな。口から飛び出しかけたその言葉は、流石に他人の親をそこまでボロクソに言う訳にはいかないかと思い直して呑み込んだ。開け放った窓から吹き込む夜更けの湿った空気が、ざあっと頬を撫ぜて去って行く。
『だから、もしかしなくても私の素性を知ろうものなら反対されると思うぞ』
「……それは…そう、かも」
ふと黙り込んでしまったゾムにフッと笑い掛け、『ま、そうだよなぁ』と苦笑した。
『そう簡単には言えねぇよな、ヤクザの娘と結婚しますだなんてよ』
何だったら、別に無理しなくたって良いんだからな。そう言って軽く吐息混じりの溜息をつくと、ゾムは思い切り首を横に振って否定する。
「う、ううん！！……な、何を言われても俺は折れん」
『……へぇ、それは頼もしいな。それなら、是非とも一生側に居てもらわないとだ』
「うへっ！？も、勿論やで」
『ふははっ、私は倖せ者だな』
「…んふ、俺も」
にへっと嬉しそうに表情を崩したゾムは、勢い良く私に抱き着いて来る。…やはり、野良猫と言うよりかは犬っころと喩える方が合っているだろうか。ゾムの感情表現はコネシマのそれを超えるレベルで激しく、パーソナルスペースが近い。
『おいおい、私は怪我人だぞ。急に飛びつくな、傷口が開いたらどうする』
「んへへ、すまん」
緊張感無く弛んだ頬をぺちぺちと叩き、二人で顔を見合わせてから吹き出した。一頻り笑った所でストンと真顔になり、ゾムに言う。
『時に、ゾム』
「ん？」
『お前も案外ヘタレだな』
「へ……」
私はゾムの顔に手を添え、何が、と言いかけたその口に自分の唇を重ねた。
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ミックスベリー - 完結おめでとうございます！最高でしたぁぁぁ！！ (2021年9月25日 19時) (
レス) @page49 id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
千寿(プロフ) - 完結おめでとうございます〜！！前作も毎日更新を待ってるくらい好きだったんですが、今作もめちゃくちゃに幸せで最高でした！！！！幸せになれ〜という気持ちでいっぱいです！！！ありがとうございます！！ (2021年9月25日 13時) (レス) @page49 id: d8421960c5 (このIDを非表示/違反報告)
ミックスベリー - 神作品をありがとうございます。いつも拝見されていただき、ニヤついております。 応援しております！ (2021年9月15日 21時) (レス) id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
オタクのオクタ - あっ結婚してください (2021年9月2日 5時) (レス) id: 748c39705b (このIDを非表示/違反報告)
はぁな。 - うわぁぁぁぁぁぁぁ何これ無理！神作品すぎません！？…すみませんお騒がせしました。無理しない程度に更新頑張って下さい！ (2021年8月22日 8時) (レス) id: cdc92f829b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうり
| 作成日時：2021年8月20日 20時
