その39 ページ40
「…へ、返事？」
『うん。まだ聞いて無いんだけど』
キョトンとしたゾムに言うも、ゾムは思い当たる事が無い様で頻りに首を捻っている。…まさかこいつ、さっきの今でもう忘れたのか。少し不満に思って、私はぐいとゾムの顎を掴んで引き寄せた。
『仕方無ぇから、もう一回だけ言ってやる』
もう二度と言わねぇから、心して聞けよ。そう告げて、じっとゾムの宝石眼を見つめる。
『好きだ。私の婿になってくれないか、ゾム』
「へ……あ…う、うわあっ！？」
漸く思い出した様に目を見開いたゾムは、バッと私の手から逃れて飛び退る。お前、それは無いだろうが。
『おい、何だその反応。流石の私でも傷付くぞ』
「え…いや、だって……」
『…もしかして、払い除ける程嫌だったか。私の家系に縛られたく無いか、若しくは私の事が恋愛的な意味で好きでは無いか』
そうだとしたら、まあ悪い事をした。口をパクパクさせて言葉を失っているゾムに、『なら勝手に話すから、聞くだけ聞け』と私は次々に話して行く。
『まず、お前の笑顔が好きだ。尖った歯も、はにかむ口許も。自由奔放な所も良い。見ているだけで、癒される。それと、気遣い上手な部分もだ。相手を振り回してるだけの様でいて、存外しっかり他人を見ている。……要するに、お前と居ると心地が好い』
ニッとゾムに笑い掛け、『まあ、だが…』と続けた。
『ここまで拒絶されるとは思わなかったな』
「っ！？違…」
暫く何か言いづらそうにごにょごにょと口篭っていたゾムは、決心した様にパッと顔を上げると、じりじりとこちらへ近付きながら言う。
「ち、違くて……その、う、嬉しい…ん、やけど」
『けど？』
「あの、お嬢がグイグイ来るのが意外って言うか…さ、さっきだってあんな簡単にちゅーとか…」
『誰にでもする訳じゃ無ぇぞ。お前だからだ』
そう言ってニヤリとすると、ゾムは耳まで真っ赤にして口許に手を遣った。
「…お嬢、俺も男子高校生なんやで」
『あ？承知しているが』
「あんまそんな風に煽られると…その……お、押し倒したくなんねんけど」
『……私の自室に帰ってからなら、それも吝かでは無いぞ』
「！？…ゆ、言ったな？」
知らんからな、と呟いたゾムは徐に私の顔に手を添えると、そっと私の頬に口付けをする。「今はこれで精一杯やから」と言い訳の様に告げて目を逸らしたゾムは、ボソッと小声になった。
「…お嬢、俺の事貰ってや」
窓からの風が髪を靡かせる。微笑んで、私は答えた。
『勿論だ』
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ミックスベリー - 完結おめでとうございます！最高でしたぁぁぁ！！ (2021年9月25日 19時) (
レス) @page49 id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
千寿(プロフ) - 完結おめでとうございます〜！！前作も毎日更新を待ってるくらい好きだったんですが、今作もめちゃくちゃに幸せで最高でした！！！！幸せになれ〜という気持ちでいっぱいです！！！ありがとうございます！！ (2021年9月25日 13時) (レス) @page49 id: d8421960c5 (このIDを非表示/違反報告)
ミックスベリー - 神作品をありがとうございます。いつも拝見されていただき、ニヤついております。 応援しております！ (2021年9月15日 21時) (レス) id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
オタクのオクタ - あっ結婚してください (2021年9月2日 5時) (レス) id: 748c39705b (このIDを非表示/違反報告)
はぁな。 - うわぁぁぁぁぁぁぁ何これ無理！神作品すぎません！？…すみませんお騒がせしました。無理しない程度に更新頑張って下さい！ (2021年8月22日 8時) (レス) id: cdc92f829b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうり
| 作成日時：2021年8月20日 20時
