その36 ページ37
「……は？え、ちょ…」
反応している暇も無く、ガクリと腕の中でAが全身の力を失う。頭を打たない様に慌てて抱き留めると、また近くなった顔に異様に意識が行ってしまう。否が応でも体が熱を帯びるのが解った。
「…って、お嬢！！しっかりしてや…死なんといて！！！」
言うだけ言って死ぬんはナシやろ。そう思って叫ぶと、猿にチョップをかまされた。
「阿呆」
「痛ってぇ！何すんねん猿ぅ！！」
「お前が何してんだ。揺さぶるなよ、そっとしておけ。気を失ってるだけだ、死んだりしないよ」
「……ほんま？」
その言葉に、出そうだった涙が引っ込む。Aは助かるんやな。いや、まだ死ぬとは決まった訳や無いけど。でも不安や。結構血も出てたし、右の腕を摩っとった時なんて真っ青な顔しとったし。…やっぱりあれ、あんまり他人に見せたくないモノだったんちゃうかな。
「…あのねぇ。嘘だったら、俺がお前らの“家族”に殺されるって」
コソッとそう囁いた担任に「それもそうやな」と頷いてから、妙な視線を沢山感じ、ユルユルだった頬を引き締める。ハッと横を見れば、クラスメート達がニヤニヤとしてこちらを見ていた。
「えぇー？鳥井とAってそういう関係なんだ？」
「Aちゃんの口調もいつもとちょっと違ったしぃ…素ってああなの？」
「鳥井、Aの事“お嬢”なんて呼んでんだ？へぇ〜……」
「あっ…や、違！！」
堪え切れずに“お嬢”と言ってしまった俺も俺だが、途中までキャラを保っていたクセに急に素に戻ったAもAだ。取り乱していると、クラスメート達は更に囃し立てる。
「結婚してくれないか、だってさ！」
「鳥井〜、どうなんだ〜？」
「煩いわ！別におじょ…って、Aとは何も…」
言い返しながら、Aに言われた事の意味を段々と理解してしまって恥ずかしくなる。好きだ、なんて告げられるとは思っていなかった。しかも、今までそんな素振りすら見せた事が無かったのに。
「……お嬢、本気なん？」
至近距離に居ないと聞こえないくらいの小さな声で言い、貧血のせいで紙の様に白くなっている頬に手を当てた。その頬はひんやりと冷たく、酷く薄い。
「…先越されてもうたわ」
普通、こういうのは男の方から言うんや無いんか。……俺はな、お嬢。お嬢があの時俺を“家族”として受け入れてくれた日から、ずっとずっと好きやったで。遠くから響いて来る救急車のサイレンを聞きながら、俺は静かにAとおでこを突き合わせた。
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ミックスベリー - 完結おめでとうございます！最高でしたぁぁぁ！！ (2021年9月25日 19時) (
レス) @page49 id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
千寿(プロフ) - 完結おめでとうございます〜！！前作も毎日更新を待ってるくらい好きだったんですが、今作もめちゃくちゃに幸せで最高でした！！！！幸せになれ〜という気持ちでいっぱいです！！！ありがとうございます！！ (2021年9月25日 13時) (レス) @page49 id: d8421960c5 (このIDを非表示/違反報告)
ミックスベリー - 神作品をありがとうございます。いつも拝見されていただき、ニヤついております。 応援しております！ (2021年9月15日 21時) (レス) id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
オタクのオクタ - あっ結婚してください (2021年9月2日 5時) (レス) id: 748c39705b (このIDを非表示/違反報告)
はぁな。 - うわぁぁぁぁぁぁぁ何これ無理！神作品すぎません！？…すみませんお騒がせしました。無理しない程度に更新頑張って下さい！ (2021年8月22日 8時) (レス) id: cdc92f829b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうり
| 作成日時：2021年8月20日 20時
