その16 ページ17
「…ほ、ほんま！？」
パァっと表情を明るくしたゾムは、ポケットからスマホを取り出す。……持ってたのか、意外だな。一度学校で問題起こしたら冷たくなる様な親なら、取り上げられていても可笑しくないと思っていたのだが。嬉しそうにアプリを起動したゾムは、チーノも交えて三人組でシティーへと乗り込んで行った。
「……お嬢。ご機嫌如何かな？」
『んおっ！？…グル兄か。吃驚させないでくれよ』
「はははっ、驚き方が組長そっくりだな」
『父娘だからだろ』
ぬっと後ろから出て来た腕が、私の肩に回る。我が組の中の“若衆”と呼ばれる年齢層の内、最も大人なのはグル兄とエミ兄である。因みに、トン兄とシャオ兄を含めた免許持ちの若衆は、私達高校生組を手分けして車で送迎してくれている。皆元の家の在る地域も違えば学校もバラバラで、いっぺんに行く事が出来ないからだ。
『グル兄、今日は遅かったな。あ、機嫌はとても良いよ』
「ああ、姐さんの手伝いで遠出して、先程姐さんと共に帰宅したばかりだ。…して、お嬢。機嫌が良いのはあの新顔の影響か？」
『まあね。……あいつはゾム。らだ兄が私を里親にしたから、今日から“家族”な』
「里親…か。言い得て妙だな」
『あ、ペットって意味じゃ無ぇぞ。私の可愛い拾い子だ』
姐さん…基母さんが帰って来たのなら、後でゾムを紹介しに行こう。ゲームで盛り上がる三人を眺めながら、フッと微笑んだ。
「ふふ、楽しそうですね」
『元はと言えば、エミ兄がウチの車に乗せちゃったからだけどね』
「猿山先生から事前にお願いされていましたから。そもそもお嬢、ああいうタイプの子に懐かれるの好きでしょう？」
『………ふん』
「あ、お嬢が照れとる〜！可愛い！！」
『ふべっ！？』
エミ兄から顔を背ければ、勢い良くシャオ兄が抱き着いて来た。シャオ兄は眩しいくらいに明るい笑顔を見せると、ポンと私の頭を撫でる。
「…まぁ、これなら学校の中での事を心配する気持ちも少し和らぐな」
『はぁ？言っておくけど、私は学校では優等生扱いされてるんだぞ』
「ちゃうって、防犯上な」
『……今の所、安全だけど』
「もしもの話や。お嬢に何かあったら、俺ら色んな意味で死んでまう」
『まず親父に殴られる所からだな』
シャオ兄の言いたい事は解る。けど、普通の高校に進学したのは私の意思だ。
『………ゾムと居れば、“普通”の女の子になれると思う？』
私の問いには答えず、シャオ兄は寂しげな笑顔でそっと私の頬に手を添えた。
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ミックスベリー - 完結おめでとうございます！最高でしたぁぁぁ！！ (2021年9月25日 19時) (
レス) @page49 id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
千寿(プロフ) - 完結おめでとうございます〜！！前作も毎日更新を待ってるくらい好きだったんですが、今作もめちゃくちゃに幸せで最高でした！！！！幸せになれ〜という気持ちでいっぱいです！！！ありがとうございます！！ (2021年9月25日 13時) (レス) @page49 id: d8421960c5 (このIDを非表示/違反報告)
ミックスベリー - 神作品をありがとうございます。いつも拝見されていただき、ニヤついております。 応援しております！ (2021年9月15日 21時) (レス) id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
オタクのオクタ - あっ結婚してください (2021年9月2日 5時) (レス) id: 748c39705b (このIDを非表示/違反報告)
はぁな。 - うわぁぁぁぁぁぁぁ何これ無理！神作品すぎません！？…すみませんお騒がせしました。無理しない程度に更新頑張って下さい！ (2021年8月22日 8時) (レス) id: cdc92f829b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうり
| 作成日時：2021年8月20日 20時
