その12 ページ13
『よし解った、ゾムな。じゃあ改めてゾム、我が家へようこそ』
「……おん！」
嬉しそうにニッと歯を見せた鳥井……基ゾムに、歓迎の証として両腕を広げる。不思議そうに首を傾げる姿に吹き出しながら、私は『ほら早く』とゾムを急かした。
「え……な、何を？」
『お前にとって、初めての“ただいま”だからな。つまり、今日は記念日だ。特別な事への喜びは、一緒に分かち合いたいだろ。……ってな訳で、抱擁しろ』
「へ……はあっ！？」
『…あれ、嫌か？女慣れしてないロボロは兎も角、鬱なんて秒で飛び込んで来たのに』
「や…だって……」
助けを求める様に他の奴等を見たゾムに、コネシマが「抵抗するんは諦めや」と首を振る。
「俺とお嬢は出会ったのも園児くらいの時やったから気にせんかったけど、お嬢は幾つんなっても新しく家に来た奴とは初めにハグせんと気ぃ済まんらしいねん。もうお嬢と高校生なんやし、間違いがあったら危ないから辞めろとは言っとるんやけどな」
『少なくとも、コネシマはいつでも私の傍に居てくれるだろ。だから危険なんて無ぇよ』
「〜〜っ、はぁ………お嬢、お前は罪な女やでほんま」
はぁ？と訊き返した私の頭に、がっしりとしたコネシマの手が乗る。何だよ、と言って後ろを向いたままフッと笑った刹那、体の前面にドンと重い衝撃が来た。
『ｳｸﾞｯ…ゾムお前……』
私とした事が、不覚だ。ゾムが思い切り抱き着いて来るのに気付かなかっただなんて。ロボロが背後に座っていたお陰で倒れこそしなかったものの、凄い勢いだったな。
「……ありがとうな」
『あ？何がだよ。別に、特段感謝される様な事はしてないだろ』
「居場所になってやるって、言ってくれたやん」
『？あぁ、まあな』
「…帰るのが楽しみな家が在るんが、嬉しかってん」
ぐっと腕に力を込めて私を掻き抱くゾムの背に、そっと手を回してやる。よしよし、とあやす様に一定のリズムで背中を叩けば、ゾムは子供の様に鼻先を私の肩にうずめた。素直に頬を寄せて来る姿は、猫と言うより…
『野良猫を拾ったつもりで、拭ってやったら大型犬だったってか…』
まあ、甘えられるのは嫌いじゃ無い。可愛い所も有るじゃねーの。笑いながらそう言えば、ゾムは照れた様にパッと私から離れてそっぽを向く。
「男が可愛ええとか、需要無いやろ」
『そんな事無ぇぞ』
私は近くに居たロボロと肩を組み、『こいつとか』と指をさす。「誰がチビやねん！」と怒鳴ったロボロに、全員で声を出して笑った。
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ミックスベリー - 完結おめでとうございます！最高でしたぁぁぁ！！ (2021年9月25日 19時) (
レス) @page49 id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
千寿(プロフ) - 完結おめでとうございます〜！！前作も毎日更新を待ってるくらい好きだったんですが、今作もめちゃくちゃに幸せで最高でした！！！！幸せになれ〜という気持ちでいっぱいです！！！ありがとうございます！！ (2021年9月25日 13時) (レス) @page49 id: d8421960c5 (このIDを非表示/違反報告)
ミックスベリー - 神作品をありがとうございます。いつも拝見されていただき、ニヤついております。 応援しております！ (2021年9月15日 21時) (レス) id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
オタクのオクタ - あっ結婚してください (2021年9月2日 5時) (レス) id: 748c39705b (このIDを非表示/違反報告)
はぁな。 - うわぁぁぁぁぁぁぁ何これ無理！神作品すぎません！？…すみませんお騒がせしました。無理しない程度に更新頑張って下さい！ (2021年8月22日 8時) (レス) id: cdc92f829b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうり
| 作成日時：2021年8月20日 20時
