その10 ページ11
「…ほんま？」
私の手を握ったまた、鳥井は不安そうにこちらを見る。私は深く頷いて、『勿論』と言い切った。
『大体、あの担任がお前の事は私に丸投げしてんだ。関わりを持った分はもう仕方無ぇ、とことん面倒見てやるよ』
“家族”になった…と言よりさせた以上は、私が責任を持つべきだ。自分の過去に重なるから…とは言わないが。私は軽く溜息をつき、『つーかさぁ』と愚痴を零す。
『らだ兄、始めからこうさせるつもりだったよな……』
「…どういう意味や？」
『いやどうもこうも、よく考えたらお前がウチの車に乗っちまった時点でアウトなんだよ』
「え、何でや」
キョトンとした鳥井を見て、あぁそうかコイツは“普通”の家の子なんだと再認識してしまった。益々巻き込むのが申し訳なくなって来る。もう全てらだ兄のせいにしてやろうかな。
『組の車に乗る一般人は、良くも悪くも目立つんだよ。家にふらっと来るだけなら、母さんのハンドメイド商品買う為とかで良く有る事だし、そこまででも無いんだが。この界隈じゃ、何時何処で誰に見られてるかも解らないんだよな』
「それ、そんなにアカン事なんか？」
『まあ…かなり。これでもし私がお前をそのままお前の家に帰宅させてたとして、途中で何かが起こる可能性は高い』
他の組の奴にでも捕まったら、私達の情報を聞き出すまで殴られたりしても可笑しくないからね。本当に何も知らないカタギの人間かどうか、彼奴らには判別出来ないし。そう説明すれば、鳥井は「ひぇ…」と首を竦める。
「え…じゃあ車通学なんは、そういう理由なん…？」
『大当たり』
「恐ろしいな……ぶっ飛び過ぎやろ」
自分の体を腕で抱える様にしてぎゅっと縮こまった鳥井に、ハンッと鼻で笑って見せた。
『何を寝惚けた事言ってんだ？私はヤクザの娘だぞ』
「……せやった」
『そいで、お前は今日からその“家族”だろ』
「……せやった」
おいおい、私はコントをしてるんじゃ無いんだぞ。“家族”になるに当たって伝える必要の有る、真剣な話だ。……まあ頭の隅に置いておいてくれればいいか、と苦笑してから、『あぁそうだ』と呟いてパチンと手を打った。
『この家には、私らと同年代の奴も結構居る』
「…そ、そうなん？」
『お前と話したくてうずうずしてると思うぞ。呼んで良い？』
「お、おん」
ま、仲間は多いに越した事は無いよな。嬉しそうに頷いた鳥井に笑い掛けて、私は鳥井と向き合って座った状態から足だけ伸ばして襖を一気に押し開けた。
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ミックスベリー - 完結おめでとうございます！最高でしたぁぁぁ！！ (2021年9月25日 19時) (
レス) @page49 id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
千寿(プロフ) - 完結おめでとうございます〜！！前作も毎日更新を待ってるくらい好きだったんですが、今作もめちゃくちゃに幸せで最高でした！！！！幸せになれ〜という気持ちでいっぱいです！！！ありがとうございます！！ (2021年9月25日 13時) (レス) @page49 id: d8421960c5 (このIDを非表示/違反報告)
ミックスベリー - 神作品をありがとうございます。いつも拝見されていただき、ニヤついております。 応援しております！ (2021年9月15日 21時) (レス) id: ff705752ad (このIDを非表示/違反報告)
オタクのオクタ - あっ結婚してください (2021年9月2日 5時) (レス) id: 748c39705b (このIDを非表示/違反報告)
はぁな。 - うわぁぁぁぁぁぁぁ何これ無理！神作品すぎません！？…すみませんお騒がせしました。無理しない程度に更新頑張って下さい！ (2021年8月22日 8時) (レス) id: cdc92f829b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうり
| 作成日時：2021年8月20日 20時
