03 優しさの印 ページ4
.▼(立花視点)
照明器具をいじって色作りをしているA君には隈が付いていた。
毎回、来てくれるというより連れて来られることが多いA君。
初めてここの手伝いに来てくれた時も鉄郎さんに引きずられてきた気が...。
多分乗り気じゃないんだと思うけど、なんだかんだ丁寧な仕事をしてくれるので甘えてしまうのは私だけじゃないと思う。
昨日、至さんに連れてこられたA君は、眠い眠い言いながら結局ひとりひとりに付き合ってくれたらしい。隈はその印だ。
「ごめんね。昨日寝れてないよね?」
『大丈夫。さっき3分立ち寝したから』
全く大丈夫ではない返答に私が謝ると、お昼のカレー大盛りで手を打とうと笑顔で言ってくれたのでやっぱりこの人は優しいんだと思った。
『それにしても、冬組も個性が爆発してるというか...』
「冬組のみんなと今日初めて会ったのにすごい人気だったね」
『MANKAIカンパニーのコミュ力が怖い』
さっき、休憩時間に立ち寝していたA君を取り囲んでいたのを見てちょっと笑った。
芸術鑑賞みたくなってたのが、絶妙にツボにきちゃって...。
「本当に個性強くて大変なんだけど、劇には真剣でこっちも頑張らなきゃって思うんだよね」
『役作りもちゃんと仕上げてるし、さすがいずみさん。』
「いやいや、私演劇部だったんだけど大根だったし...みんなのおかげだよ」
『そっか俺と同じだな...おっと...』
「え?キャストだったの?」
『はは。まぁちょっとだけ...よしっ照明決まったし通してみよう』
元演劇部で、裏方の方だったと聞いていたので驚いた。
焦ったように話をそらすA君にその後は何も聞けなかったけど、すごく気になるな。
あんまり触れてほしくないのかもしれない...
そう思って、聞けずにいたことが意外とすぐ教えてくれることを私はまだ知らない。
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ゆりあ(プロフ) - ばななさん» コメントありがとうございます!更新頑張りますね( ´ ▽ ` )ノ (2017年5月23日 6時) (レス) id: 8069c66cf4 (このIDを非表示/違反報告)
ばなな - 面白いです!更新楽しみにしてます! (2017年5月22日 23時) (レス) id: 71347bd421 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆりあ | 作成日時:2017年5月21日 10時