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『お前何してんだよ!!』
「そんな好きでもねぇ奴と話さなくてもいいだろうが!!」
『てめぇ...。そんなこと言うなら、お前の方こそ話したくねぇよ!好きでもねぇから私はお前から逃げたんだろ!!』
腹が立った。私のことなんて知らないくせに。
アイツの胸倉をつかめば、あいつも私の胸倉をつかむ。
私たちはよくケンカしたけど、ここまでにらみ合うのは初めてだ。
「...じゃあお前は、好きでもない奴とキスしたって言うのかよ。好きでもない奴の為に命張ったっていうのかよ」
『...あれはキスじゃない。あれをキスって言ったら私もエマも浮かばれない!』
あの夏の暑い日、肝試しとかなんとかいってお前と神社を歩いたあの日。
強い雨に会ってお前と2人で雨宿りした。体が冷えて、なんだか腹の方が痛くなった。
初潮だった。母もいない男家族でそんな知識も少なくて、怖くなった私よりも堅の方が知識があって、お前に女だからなるんだよって言われた。大人になるってことだと言われた。
みんなより先に大人になるのが嫌だった。
女になったらみんなといられなくなるのが嫌だった。
1人にされるのが怖かった。
いつの間にか過呼吸になっていて、それを堅が助けてくれた。
大丈夫だと。お前を女じゃなくてAとしてみるからと。俺も1人だからと。
初めてキスをした。でも、これは私に息を入れるための手段だった。
女としてじゃない。あれはキスじゃない。
でもそれを私も望んだ。じゃないと、エマも堅もかわいそうだ。
『あの日からずっとずっと好きだった!ずっとこの思いを背負ってたんだよ私は!...でも同じくらいエマも大切だから!だからあれはキスじゃないって言わないとダメなんだ!!』
あぁ、言ってしまった。一生言わないでおこうと思ったのに。
でも堅がどんな顔をしてるかなんて見えなかった。
涙なのか雨なのかもう分からないほど視界はぐちゃぐちゃだった。
「...Aがあれをキスじゃないって言うんなら今もう1回してやる。お前が女として見て欲しいって言うなら見てやる。ただ、ぜってぇ1人にはさせねぇ。全部背負うなよ...。エマのことは好きだった。お前が言うように俺も2人が同じくらい大切だ。エマもお前のことが大切に決まってる。だから守らせてくれよ...」
指で優しく拭われた視界に、涙を流す堅が映る。
どうしようなく優しくて、愛しかった。
「好きだA」
土砂降りの雨の中、初めてキスをした。
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ゆりあ(プロフ) - はいじさん» コメントありがとうございます!終わり方結構悩んだのでそう言ってもらえると嬉しいです!新作の方もぜひよろしくお願いします! (2021年8月29日 16時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
はいじ - 完結おめでとうございます!少し寂しいけどめちゃめちゃいい終わり方でした...!新作も応援してます! (2021年8月29日 16時) (レス) id: 9db9b51c86 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - マクドさん» コメントありがとうございます!泣いてもらえるなんて...嬉しくて涙が。他キャラの作品もぼちぼち作る予定ですのでよろしくお願いします! (2021年8月29日 15時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
マクド - めっちゃ泣きました!好きすぎる!他キャラクターとの作品も待ってます(土下座) (2021年8月29日 15時) (レス) id: accf718d90 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - 夜野ちいさん» 完結までお付き合いいただきありがとうございます!感動してもらえるなんて..嬉しい限りです!本当にありがとうございます!! (2021年8月27日 23時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆりあ | 作成日時:2021年7月23日 15時