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「不細工な笑顔だな」
千冬と武道を見送って、再び歩み始めようとすれば、物陰から聞き覚えのある声が聞こえた。
声の主は街灯に照らされてゆっくりとその大きな姿を表す。ドラケンだ。こいつは今一番会いたくなかった奴だ。
『...はっ女子に向かって最低だな。人の告白現場見た次は、これ?覗き見なんて趣味の悪いことするんだな』
つい強い口調になってしまうのは、私の心が揺れてしまうのが嫌だったから。
私が強くならないと、お前も辛いだろうから。だから今だけは許してほしい。
「...A。なんでいきなり喧嘩を辞めるなんて言った?なんで俺達を避ける」
『別に避けてるつもりはない...喧嘩辞めたらつるまなくなったってだけで。笑っちゃうよね、私喧嘩しなかったら全然お前らといねぇんだもん。おかげで彼氏との時間が増えたよ...喧嘩を辞めたのも彼氏が危ないからって。女の私には似合わないって...どう?最近可愛くなったって言われる.ッ..』
他の女子を真似て履くようになった少し短くした制服のスカート。いつも下に長いジャージを穿いてたから少しスース―して落ち着かないけど。ドラケンの前でくるっと回って見せれば、彼はそれを遮るように私の腕を強く引いた。
無理に掴まれた腕が少し痛い。
笑ってくれると思って、私も笑顔を作ったのにドラケンは笑ってくれなかった。
「だからその作った笑顔がキメェって言ってんだろが!!」
『...知ってたドラケン?可愛い女子はこうやって小さく微笑むんだよ。喧嘩の時みたいに声を上げて笑い転げてた私はモテないわけだ...。ごめんお前に認めてもらえるくらい頑張るから...もう少しで変われる気がするから...』
ドラケンとエマを笑って祝福したいから、お前に心から笑顔を向けられるくらい強くなりたいから。
いつまでも喧嘩早い私のままじゃダメなんだ...。
もう一度向けた笑顔を見てドラケンはどこか悲しそうに手を離した。
「...みんな変わっちまうんだな。昔みたいに馬鹿みたいに俺は笑いてーよ...」
「お前には言っとかなきゃいけねぇな...。明日の抗争、場地は芭流覇羅についた。あっちには一虎もいる。マイキーは場地を連れ戻すって言ってんだ」
『圭介..が..?』
「一虎は許さねぇってな...一虎も引かねぇんだ...どうすりゃいいと思うA?...お前に言ってもしょうがねぇか...10月31日。廃車場で決戦がある。お前は絶対に来るな」
悲しそうな彼の顔が忘れられなかった。
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ゆりあ(プロフ) - はいじさん» コメントありがとうございます!終わり方結構悩んだのでそう言ってもらえると嬉しいです!新作の方もぜひよろしくお願いします! (2021年8月29日 16時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
はいじ - 完結おめでとうございます!少し寂しいけどめちゃめちゃいい終わり方でした...!新作も応援してます! (2021年8月29日 16時) (レス) id: 9db9b51c86 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - マクドさん» コメントありがとうございます!泣いてもらえるなんて...嬉しくて涙が。他キャラの作品もぼちぼち作る予定ですのでよろしくお願いします! (2021年8月29日 15時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
マクド - めっちゃ泣きました!好きすぎる!他キャラクターとの作品も待ってます(土下座) (2021年8月29日 15時) (レス) id: accf718d90 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりあ(プロフ) - 夜野ちいさん» 完結までお付き合いいただきありがとうございます!感動してもらえるなんて..嬉しい限りです!本当にありがとうございます!! (2021年8月27日 23時) (レス) id: 029daaf82d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆりあ | 作成日時:2021年7月23日 15時