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「あ。しず、」
返す言葉を探していた時、七五三掛さんがぽつりとつぶやいた。
彼の視線の先をたどると、店の入り口にがっしりした体つきの男性が立っていた。俺の視線に気づいたその人が、戸惑ったように頭を下げる。
「外で待ってるから。」
多分そう言ったんだろう。しず、と呼ばれたその人は、外の方を指さすとそそくさと店を出た。
「行ってあげた方がいいんじゃないですか？外、寒いですし。」
俺の言葉に、七五三掛さんは素直に立ち上がった。コーヒーは奢ってくれるらしい。
「…先生。まつく、最近元太のとこに行ってます？」
別れ際、歩き出した足を止めて聞いてくる。
「いらしてますよ。回数は減りましたけど。」
実は、松倉さんが元太の病室に来る頻度は下がる一方だった。まるで、秋から冬にかけて下がり続ける気温と比例するように。
俺の返事を聞くと、七五三掛さんはまあそうだよな、と独り言のようにつぶやいた。
「…まつくの話、聞いてあげてください。病院に行ったとき、本当にたまにでいいので。」
深々と頭を下げる彼に、わかりました、と答えると、七五三掛さんはもう一度頭を下げて店を出て行った。
店のガラス窓から何気なく通りを見ると、しずと呼ばれていた男性と歩く七五三掛さんの姿が見えた。
七五三掛さんの方が半歩前。しずと呼ばれた彼は、引っ張られているようにも後ろから守ろうとしているようにも見える。
支え合える人がそばにいる。2人の姿を見ただけで、直観的に安堵が胸を満たした。
「支える人、か。」
彼のそばには、今誰がいるのか。
ふと、元太の病室で1人たたずむ松倉さんの姿が脳裏に浮かんだ。
続く
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おさと(プロフ) - おもちさん» おもち様、はじめまして！コメント、とても嬉しく励みになります…！ありがとうございます！！これからも少しずつ更新してまいりますので、ぜひお付き合いのほどよろしくお願いいたします！ (2022年1月26日 16時) (
レス) id: c1210c5b99 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - はじめまして！更新ありがとうございます。密かに読ませていただいてました。2人の関係性とても素敵です。これからも更新楽しみにしています！ (2022年1月25日 21時) (レス) @page32 id: 5462cacf1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2021年10月3日 10時
