82松 ページ31
「おじちゃんがおじいちゃんにようがあるって」
「兄ちゃんがか?」
「はい、突然すみません…。今大丈夫ですか?」
仕事中にも関わらず山中さんは快くOKを出してくれた。暑い中まだまだ仕事があるのだから手短に済ませよう。
「Aの事なんですけど…」
「なんじゃ暗ぇ顔して、痴話喧嘩でもしたんけ?」
「違ぇます!そうじゃなくて、Aについて何か知っている事があれば教えてほしいんです」
「あぁ?」
事の経緯を順を追って説明した。
以前からAが何かを隠しているような素振りを見せる事、近所の婆さんの気になる発言の事、そして昨日の墓参りでの出来事。
最初はのほほんと聞いてた爺さんだったけど、段々とその表情は険しいものになっていき、墓参りの話をした辺りからは真剣そのものの顔になっていた。
「墓参りさ行った時なんかあったんけ?」
「それが分からなくて…、聞いても教えてくれないんです」
「兄ちゃんの方はなんもなかったんか?」
「俺?いや、特には…。人に会った事ぐらいしか…」
途端、爺さんの眉間の皺が濃くなった。
「そりゃどんな奴だ?」
「え?中年ぐらいのおじさんで、その人も誰かの命日で墓参りに来たって言ってました」
「レナ、オラまだ兄ちゃんと話しとっけえ先に家さ戻っとけ。んで達也が宿題サボってねぇかしっかり見張っとけ」
「はーい!」
今、明らかにレナちゃんを追い払った。
レナちゃんが見えなくなった所で再び爺さんに視線を戻すと、険しい顔をした顔でジッと此方を凝視していた。
「兄ちゃん、本当にAちゃんの事さなんも知らんのけ?」
「はい、何も」
「………、ちとAちゃんとこさ行くべ」
「え」
言うが早いか爺さんは歩き出した。
え、何この展開。事情を知ってたら教えてもらうだけで終わりだと思ってたのに、なんか事が大きくなってしまったような気がする。
早歩きで互いに無言のままAの家に戻ってきた。戸を開けて中に入ろうとしたけど、戸はガシャッと音を立てて動かない。
あれ?鍵が掛かってる。
いつもだったら開けっ放しの筈なのに。
「縁側さ行くべ」
「え、ちょっと…!」
爺さんと一緒に庭に回った。
いつもは窓も開けっ放しなのに、今日はしっかり施錠されていた。
俺が出かける前もこんなだったっけ?意識して見ていなかった。
………なんなんだ、この違和感は。
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渚(プロフ) - 月花さん» 返信が遅れてしまいすみません。1でもコメントしたのですが、Azpainter2というPCソフトを使っています (2020年2月3日 20時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 絵上手いですね。どうやってらんですか? (2020年2月3日 19時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 森田菜々子さん» ご要望にお応え出来ず申し訳ございません…。今後ともよろしくお願いいたします。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: d823623ddd (このIDを非表示/違反報告)
森田菜々子 - すいません;最新頑張って下さいね。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: e772f145ae (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 森田菜々子さん» えっと、それは短編小説のリクエストでしょうか?それですと申し訳ないのですが、小説のリクエストは受け付けておりませんので…。 (2018年9月4日 18時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渚 | 作成日時:2018年1月14日 17時