日常7『スイカ割り』 ページ3
ジリジリと日が照りつける夏の午前。
Aは洗濯物干し、俺は扇風機の前でニャンコと宇宙人ごっこをしていたら、食材をよくお裾分けしてくれることでお馴染みの山中の爺さんが縁側からやって来た。
今日もなんかを持ってきてくれたようで、その手にはずっしりと重そうな一つのスイカが抱えられていた。
「山中さんいつもありがとうございます!もうスイカって採れるんですか?」
「ハウス栽培しとっけぇな。今年は豊作で余っちまうのもあっけぇ近所に分けてんだ」
「そうだったんですか。……あ!一松さんせっかくですしスイカ割りしませんか?」
「え、何故?」
「普通に切って食べるのもいいですけど、どうせなら夏の醍醐味を味わいたいと思って」
山中さんからスイカを受け取ったAは満面の笑みで言う。スイカ割りが夏の醍醐味ってのは分かるんだけど…。
ふと外を見れば太陽の光が地面を照らして蜃気楼を作り出し、そこら中から蝉がせわしなく鳴いているのが聞こえてくる。
・・・・。
「……こんな暑い中やるの…?」
「あぁ…、まぁ確かに熱中症になっても困りますしね…、やっぱり普通に切りましょうか」
「……あ…いややりたくないとは言ってないんだけど。…でも大人数ならまだしも二人でやって楽しいのかなって思って」
だからそんな眉下げて明らか残念そうな顔しないで。気持ちはわかるから俺もドメスティックパリピだから。
「カップルなんだからやっても可笑しくあんめぇ」
「ブッ!?いやだからカップルじゃねぇって…!」
「あっ、んじゃあウチさ来っか?」
「……は?」
「…山中さんのお宅に、ですか?」
「大人数でやりてぇんなら今孫が家さ泊まりに来とっけぇ一緒にやれば良かっぺ。俺んとこもスイカ割りすっかっつってたけん調度いいべぇ」
「え、でも急にお邪魔してもいいんですか?」
「いがっぺよー、孫もAちゃんに会いてぇっつってたけんな」
「え、私に?」
「んだ。じゃあ一時にウチな」
「えぇ、山中さん!?」
行く行かないの返事を待つことなく山中さんは帰ってしまった。
話の流れについていけずその場に取り残された俺とAは自然と顔を見合わせる。
「……これはもう」
「……行くしかないですね」
そんな感じで強引にスイカ割りが行われることになった。
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渚(プロフ) - 月花さん» 返信が遅れてしまいすみません。1でもコメントしたのですが、Azpainter2というPCソフトを使っています (2020年2月3日 20時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
月花 - 絵上手いですね。どうやってらんですか? (2020年2月3日 19時) (レス) id: a919e6fca7 (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 森田菜々子さん» ご要望にお応え出来ず申し訳ございません…。今後ともよろしくお願いいたします。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: d823623ddd (このIDを非表示/違反報告)
森田菜々子 - すいません;最新頑張って下さいね。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: e772f145ae (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 森田菜々子さん» えっと、それは短編小説のリクエストでしょうか?それですと申し訳ないのですが、小説のリクエストは受け付けておりませんので…。 (2018年9月4日 18時) (レス) id: b81e412f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渚 | 作成日時:2018年1月14日 17時