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48-1 ページ37

「万次郎がイザナの事知ってしまったよ」


いつものように多く着込んで真の墓参りに来ていた。


「その前にイザナが万次郎に会いに行っていたらしい」
「それにな、東卍(トーマン)を追い出した奴がイザナのチームに寝返ったんだ」
「あと一部隊、東卍(トーマン)を裏切る奴がいるんだ…」


真の墓の前で座り込み、飴を舐めがら言葉を続ける。


「一時期、500人近くいた東卍(トーマン)が一人のクビで元に戻って、さらに一部隊分の人数も減る…」
「…組織をでかくするのは簡単だが、それを維持するのは難しいからな…」


カランと飴を鳴らしても、あたりにはあまり響かない。
俺が黙ってしまえば、あたりは環境音だけが響き渡る。
その状態に気が済んだ俺は立ち上がり、墓をひと撫でした。


「………またなにかあれば会いにくるよ、真」


真の墓に背を向け、墓地から出ようとした時、懐かしいバイクの排気音が徐々に聞こえてきた。
墓地の出入り口に一台のバイクとそこに乗る人物に視界に入れた時、思わず目を見開いた。


「久しぶり」


「……イザナ」


手紙のやり取りが途絶えてからずっと会いたいと思っていた黒川イザナがそこにいる。
いつかの誕生日にあげたピアスが、イザナの両耳にカランと音を立てて揺れていた。
イザナの愛機CBR400F(シービーアール)のケツに乗り、イザナの気の向くままに走り回る。
お互いになにも話すことはなく、ただ景色が流れていく。


「手紙、見たでしょ?」


先に口を開いたのはイザナだった。


「………ああ」
「けど、答えは変わらない」


「………そっか」
「じゃあ、壊さなきゃ」


少し俯き気味になったイザナに疑問を持つ。
「イザナ?」と口を開きかけた時、後ろから頭に強い衝撃が走り、バイクから投げ出された。
殴られたと判断したのは、身体中に走る痛みと頭から何かが流れるものを感じてから。
身体に鞭を打ち、無理やり体を起こす。


「………っ」


頭から流れる血のせいで左目が開かなくなる。
辺りを見回せば、どこかの人気のない波止場で倉庫が連なっている。
そして、物陰からゾロゾロと出てくる赤い服の集団。
俺を殴ったであろう奴も同様に赤い服を着ていた。


「………汚い手を使うのは相変わらずか」


頭を殴られた影響か、うまく立つことを維持できずふらふらとしている。
それに付け加え、めまいもしている。


「(戦況は…最悪だな…)」

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作者名:倖那 | 作成日時:2021年10月21日 20時

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