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海が近いせいもあってこの辺りは一段と冷え込んでいる。
バイクでの移動や殴られた事もあり、身体が思うように動かないことを察している。
その上で、200人はいるであろう天竺の連中はバッドや鉄パイプ、中には刃物を持っているであろう奴も見え隠れしている。
「………マイキーを潰してどうするつもりだ、イザナ」
その問いかけにイザナはすんなりと答えてくれた。
「
その答えに思わず眉をひそめた。
「やはり、オマエが必要なのは真か…」
「安心しなよ、A」
「Aは壊してでも傍に置くから」
イザナの笑みがどこか不気味に見える。
「やはり夢物語と現実はうまくいくわけない、か…」
俺はマフラーと上着を脱ぎ棄てる。
その際もふら付いて膝をつきそうになるが、なんとか踏ん張る。
「ふぅ―…」
ゆっくりと深呼吸をして、構える。
「来いよ、イザナ」
「俺がオマエの事を止めてやる」
攻防に入ったとしても、足取りが悪いのは確かで、どこまで通じるかモわからない状態だ。
正直、いつ倒れてもおかしくない。
「オラぁっ！」
考え事してる間にすでに背後から数名殴りかかってきた。
振り向き様に殴られる前に蹴り散らすが、次の分が襲い掛かる。
しかし、身体は正直でうまく立ち回りができない上、激痛で動きが鈍る。
その為、普段以上の傷を負ってしまう。
「はっ…はっ…」
「ゲホッ…」
咳をしたと同時に口から血がボタボタと落ちる。
口から以外にも頭や手腕、顔からいくつもの切り傷から血が流れ、地面に落ちる。
血が足りてないのもあってか、眩暈も酷くなってきた。
まだ天竺の連中はうじゃうじゃいる。
「チッ…」
そこにイザナが近づいてきた。
「しぶといね、A」
「早く壊れた方が、楽なのに…」
そう言い終えるとともに、腹に衝撃が走る。
「カハッ…」
イザナから蹴りを貰ったんだと理解した。
そう理解した時には俺は地面に伏せて、ゲホゲホと血を吐いていた。
「マイキーを
「それまで待っててね、A」
イザナの不敵な笑みが背筋にゾクリと凍る。
「またね」と言って、イザナを先頭に天竺の連中はいなくなった。
見えなくなったのを確認し、身体に鞭を打って、上着とマフラーを拙い手で着る。
近くにあった壁に背を預けてずるずると座り込む。
「ざまぁねーな…」
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作者名：倖那 | 作成日時：2021年10月21日 20時
