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44-2 現代タケミチsaid ページ29

大寿君から言われた通りにA君の案内で店の裏から外に出て路地を駆け抜ける。


「("黒龍(ブラックドラゴン)にしがみ続けてきた男"…?)」
「("黒龍(ブラックドラゴン)の財布だった男"…?)」
「(イヌピーとココ)」
「(あの二人…黒川イザナを知る為のキーマンなんじゃないか!?)」


そう思ったと同時に「ナオト!!」と叫び、足を止める。


「どうしたんですか!?タケミチ君!」


ナオトもまた足を止め、こちらを見る。


「やっぱり戻ろう!」


敵側にいるとはいえ、あの二人にオレはどうしても話がしたい。


「あの二人なら絶対知ってる」
「関東事変の事をちゃんと知っておきたいんだ!!」


「戻るよ」と来た道を引き返そうとするオレはA君の横を通り過ぎる。


「…タケミチ」


A君がオレの名前を呼んだのが聞こえ、思わず足を止める。


「A君…?」


「ずっとオマエに聞きたかったんだ」


そう言いながら、オレの方を振り返るA君。
俯き気味の彼の表情は辺りが暗いせいもあってうまく読み取れない。


「………なんで」


「……?」


「なんで、俺と万次郎を置いて東卍(トーマン)から立ち去った…?」
「なんで万次郎に「一人でもできる」と言った…?」


「え…?」


フィリピンで死ぬ前のマイキー君の同じセリフを吐くA君が顔をあげた。


「タケミチ…約束、したよな…?」
「万次郎の事を叱ってくれって…」


「A、君…?」


表情がやっとはっきり見えた時、A君は片目から涙を流しているの表情は無だった。
また目には光がなく、背筋がゾクリと冷えた。


「お前がいなくなったと聞いた時…」
「絶望した…」
「気づいたら、皆いなくなった…」
「万次郎も…いなくなった」


「あ…」


「なぁ、タケミチ…」
「俺はこれからどうすればいい…?」


そう言いながら、A君はオレに近づく。
オレは無意識に一歩引いた時だった。


「…タケミっち」


もう呼ばれることはないと思っていた渾名で呼ばれ、声のした方を向けば、先に見えたのは拳銃で持っていた人物は…。


「稀咲…」


何もかも終わったと一瞬にして悟ってしまった。


「死ね」


銃声が鳴る直前、後ろから誰かに押され、前に転んだ。
銃声が鳴った数秒後に後ろで倒れたおとがした。
振り返ると、A君は立ったままで、ナオトが倒れていた。


「ナオト…?」

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作者名:倖那 | 作成日時:2021年10月21日 20時

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