片手のないあの子【東リベ】2 (ページ44)

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タケミチと待ち合わせした場所に俺はいた。

「お待たせしました!」

「悪ぃな、学校終わったばっかなのに」

制服を着たタケミチはどこか思い詰めていた。
学校終わった時間からしばらく経過している今、あたりはすでに真っ暗だ。
タケミチの家の近くの公園で待ち合わせしていたのだ。

「……なんかあったみたいだな」

「あはは…」

タケミチにまだ暖かいお茶を渡し、本題に移ろうとした時だった。

「タケミっち!」

そう声かけたのは千冬だった。
やはりか…と思いつつも、持っていた暖かいコーヒーを口にする。

「A君、千冬に俺の事、話してしまったんです」

千冬は事前に聞いていたのか何も言わない。

「………やはりな」

「「え?」」

「ほら」とタケミチと同じ暖かいお茶を千冬に投げ渡す。

「最近、千冬と一緒に行動するから予想はしていた」
「俺が今回聞きたかったのは、未来(あっち)の件もそうだが」
「まずは千冬に話したかどうかを聞きたかったんだ」

とりあえず座ろうぜと近くのベンチに二人を誘った。
そして、タケミチから未来の事をきいた。
その上で12月25日(クリスマス)に柴大寿とモメる事もきいた。

「クリスマスまでの期限付きで、稀咲と組むことにしました」
「少しでも稀咲の事が何かわかるかもしれない」
「追い出すヒントが見つかるかもしれない」
「そう思って組みました」

「そうか…」

「Aさん」

千冬に名を呼ばれ、そちらを向けば千冬が頭を下げていた。

「場地さんの件、本当にありがとうございました」

「……俺は何もしてねぇよ」

「それでも、お礼を言いたかったんです」

「……12月25日(クリスマス)」

ぽつりと呟けば、驚いたようにこちらを見る二人。

「毎年、この日は真一郎と万次郎と場地と走る約束してんだ」

「Aさん…」

「こんな寒い中でバイク走らせてさ」
「寒いはずなのに」
「バカみたいに笑ってっから」
「何故かあったかくてな」

呟いた時に上がった口角が下がる。

「……いなくなったなぁ、二人とも」

千冬とタケミチに涙が浮かぶ。

「黒龍(ブラックドラゴン)の件」
「隠密にやるのは構わないが…」
「二人までいなくなんなよ…」
「タカもきっと首突っ込むだろうなぁ…」
「………これ以上、いなくならないでほしい」

頬杖をつきながら、わざと皮肉な口調で二人に微笑んだ。
二人の顔がさらに歪ませてしまった。