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28-3 ページ39

「兄貴…ソイツはこの辺が黒龍(ブラックドラゴン)のシマだって事」
「知らなかったんだ…だから…」


見逃してくれ、そう懇願しているようにしか見えない。


「んなこたぁ聞いてねぇぞ」
「オレの命令が聞こえねぇのか?」
「テメェは東卍(トーマン)である前にオレの弟だ」
「つまり兄であるオレの命令は絶対だ」
家族(ファミリー)の絆は、仲間のソレより上だろ?」


何も言わない八戒だが、明らかになにも言い返せないでいる。


「大寿!」
「八戒をあんま追い詰めんなよ!」


八戒を庇うように大寿に近づく柚葉を横目で見た。


ガシッ


「あ?」


『!!?』


「A君…!?」


柚葉を殴る予定だった大寿の腕は俺が今押さえつけている。


「さすがに目の前で女殴られんのは気分悪ぃ」


「なんで、ここに…」


東卍(ウチ)のメンバーが迷惑かけたな、話し合いには応じるから見逃してくんねぇ?」


大寿の腕を離しながら、ゆっくりを見上げる。


「テメェが黒龍(こっち)に来てくれるんなら、何もせずに見逃してやる」


「え!?」


ため息をつきながら、頭をかく。


「………八戒」
「この状況を生んだのはオマエが原因だ」
「なんとかしろ」
黒龍(ブラックドラゴン)に入る気はさらさらないんでな」


そういうと大寿の拳が目の前に迫り、すこし後ろに引き、受け流しながらソレを左頬で受けた。
その衝撃で咥えていた棒付き飴が地面に落ちる。


「Aさん…!!」


柚葉が後ろにいる為、わざと受けたのだ。


「あんた…」


東卍(ウチ)のモンが迷惑かけた分はもらった」
「さすがにこれ以上は受けるつもりはねぇが、これ以上黒龍(テメェら)のシマで争う気もねぇ」


俺は八戒に視線をよこす。


「さっさと交換条件だせ、八戒」
「さすがにこれ以上は幹部共は黙ってねぇぞ」


「………わかった」


八戒は一歩大寿に近づいた。


東卍(トーマン)を…やめるよ」


大寿が八戒に視線をよこす。


「兄貴を支える為に黒龍(ブラックドラゴン)に入る」
「だからみんなを見逃してくれ!」
「交換条件だ!!」


それによってこの場は解散となった。
八戒は気絶したタケミチを背負い、タケミチの彼女と帰路に着いた。


「悪ぃな、乾」
「あの話はなしだ」


乾にそう告げて俺もまたその場を後にした。

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作者名:倖那 | 作成日時:2021年9月25日 17時

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