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22-1 タケミチsaid ページ17

「………場地君…」
「………なんでだよ?」
「わかんねぇよ…」


ただでさえ致命傷な傷なのに、自決するなんて決めたんだ…?
治療が間に合えば、助かるはずなのに…?
色んな考えが頭を駆け巡ったけど、場地君がなんの為にその行動に出たのか、その答えが出なかった。


「なんの為に……自分で自分を、刺したりなんか…!?」


涙が溢れそうになるのを必死に抑える。


「タケミチ…もっと近くに」


そう呟く場地君の言う通りに近くに来て、聞き取れるようにしゃがんだ。


「稀咲は敵だ」


「!」


「それに気づいたのはパーが長内を刺した事件」
「"パーを出所させる代わりに参番隊隊長に任命してくれ"」
「稀咲がマイキーとAに持ち掛けるのを偶然見ちまった」


場地君は荒い息を吐きながら、言葉をつないでいく。


「参番隊隊長は…稀咲じゃねぇ!!」
東卍(トーマン)は、オレら7人で立ち上げた」
「どんな理由があっても」
「参番隊隊長はパーだけなんだ」


場地君の目に涙が浮かぶ。


「場地さん…」


「パーちん…」
「三ツ谷…」
「ドラケン」
「A君」
「マイキー」
「一虎」


場地君は創設メンバーの皆の名前を呼び、微笑んだ。


「"東卍創設メンバー(あいつら)"はオレの"宝"だ」


微笑みながら涙を流す場地君を見てオレもまた涙が頬を伝う。


「オレ一人でなんとかしたかった」
「でもまぁ、無理そうだ」
「オレは…自分で死んだ(・・・・・・)
「マイキーが一虎を殺す理由はねぇ…」


場地君は自分で刺すことによって、一虎君が刺したことを帳消しにしたんだと思い知らされた。


「……いよいよだな…」
「幻覚まで見えてきやがった」


「…え?」


場地君の言葉にまさか…と思った。


「タケミチ、オマエはどこか真一郎君に似てる」
「マイキーを…東卍(トーマン)を…」
「オマエに託す!!」


「ダメだよ、場地君」
「そんな事言わないで!!」


悟ってしまった。
けど、死んじゃダメだ!!


「……A君に伝えてくれ」
「"オレのやることに何も言わずに見届けてくれてありがとう"って…」


「!!」


さっきまで忘れていたけど、なんでA君があまり動かなかったかわかった気がした。


「千冬ぅ」


「ハイ」


「ペヤング、食いてぇな」


「………買ってきますよ」


「半分コ、な?」


涙が溢れる千冬と満面の笑みを浮かべる場地君。


「ありがとな、千冬…」

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作者名:倖那 | 作成日時:2021年9月25日 17時

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