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「俺は帰るぞ！なんとしてでも出口を見つけてやる！」
「あたしも……あたしも、帰らなきゃいけない。だから、ごめんね、カスミちゃん。ここにはいられないよ」
コウくんが強い口調で宣言した。チヅルちゃんも決意を口にする。二人の発言を聞いたカスミちゃんがまたちょっと不満げな顔をした。
「ふーん。まあいいけどね。とりあえず、わたしはパーティーの用意をしに行くから。一旦、みんなとはお別れ。また後で会いましょう」
パーティー？そう聞くと、ふてくされた様子のカスミちゃんの表情が回復した。
「ええ、ゆんなちゃん。みんなの歓迎パーティーの用意をしなきゃ」
「パーティー、するの？わあ、楽しみ……！」
「ふふ、期待していてね、かえでちゃん。……ああ、そうだわ」
瞬間、ふわりと景色が変わった。夢の主であるカスミちゃんが変えたんだ。辺りは今までの狭苦しさを全く感じさせないほどに大きなお屋敷へと姿を変えた。
「うわっ、なんだ！？」
「急に景色が！」
みんなびっくりして、辺りを見回す。もちろん、わたしも。
わたしたちが立っている部屋は、なんだかエントラ ン ス ホ ールみたいで、右を見ても左を見ても、頭上に見える二階の廊下へ目を向けても、沢山の扉が並んでいる。そして、カスミちゃんの両手にはどこからともなく茶色いうさぎの大きなぬいぐるみが抱かれていた。
「はい、かえでちゃん。いつも夢で会う時、手に抱いていたでしょう」
「わあ、カスミちゃん、ありがとう……！！」
ぱあっと笑顔になるかえでちゃんに、ふふっと笑みをこぼして、カスミちゃんはホール内の階段へと近づいていった。と思ったら、階段の備えられた段差を登って、足を止めた。わたし達をゆっくりとまた見回して、
「それじゃあ、また後でね。
「″他の子″？……あっ」
コウくんが訝しげに呟いた。と同時に、カスミちゃんの姿がふっと消えた。
「すごいわ、カスミちゃん。かえで、自分の夢の中でもあんな移動の仕方出来ないもの」
まだ紅潮した頬でどこか嬉しそうにかえでちゃんが言う。大きなうさぎをぎゅっと抱きしめながら。
「面倒な事になったわね……早く帰らなくちゃ」
自分に言い聞かせるようにして、おりえさんが呟いた。それが合図かのように、みんな戸惑いながら顔を見合わせる。
「とりあえず、まずは自己紹介をしあっておこうか」
そうめいくんの発言から、一旦自己紹介の時間となった。
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