Chapter0.プロローグ・薄桃色の妹編 ページ1
*
ここはどこ?
ゆらゆら、まどろみの感覚が心地いい。覚えのあるこの感覚。間違いない。きっとあの子の……
「カスミ、ちゃん……え?」
目を開ける。と、同時に混乱した。なに、ここ。いつもは、わたしのお部屋から″始まる″のに。
ふわふわとした、よくわからない光景。淡いピンクや薄紫色の、オーロラのようなモヤがわたしを囲っていた。違う、そういう″部屋″なんだ。この夢は……。
「わ、なに、これ」
「誰だよ、全員……」
「君たちは……誰かな?会ったことあったっけ?」
何人かの困惑の声。部屋にはまばらな間隔を保って、いち、に、さん……七人。わたしも合わせて八人がいるみたい。それも、みんなそんなに歳は離れてなさそう。高校生くらいの人もいるけど……。
会ったことあったっけ。そう誰に問うでもなく言ったせいの高い男の子に、黒髪の女の子が言う。
「知らないわよ。ここにいる全員、面識はないわ」
言いながら、女の子がわたしの方を振り返った。するとほぼ同時にわたしの隣の女の子がわずかに肩を跳ねさせた。でも、その反応は変じゃないと思う。
白いセーラー服の胸元に、くすんだ赤色のリボン。裸足なのが気になるけど、それもまた様になっているような気がした。振り返る瞬間、風もないのに綺麗な黒髪が靡いたような気がして……流れる髪の色とは正反対の、雪にも負けないくらい白くて綺麗な肌にびっくりした。何よりその顔は、女の″子″という表現でいいのか迷ってしまうくらい綺麗な人だった。
「うん、そうだよね……」
「何だ、これ。本当にどうなってんだ?」
せいの高い男の子が黒髪の子に呟き、灰色の短い髪の小中学生くらいの男の子が怪訝そうにわたし達を見回す。
わたしの隣の、さっき黒髪の女の子に反応した可愛い服の女の子は俯いて何か考えているみたい。と思ったけど、よく見るとなんだかぼーっとしているだけかも。
女の子が気になって、顔を覗き込もうとしたその時だった。
この場にいる、全員の動きが止まる。聞き覚えのある声がした気がして。
「くすくす……ふふふっ」
どこから聞こえているのか、いまいちわからない。部屋中を、声が飛び回るみたいに響いて聞こえる。
震える声で、そっと名前を呼んでみた。
「カスミ、……ちゃん?」
両肩に置かれた手。くすんだ桃色の袖だった。彼女の長い金髪が、わずかにわたしの肩を、背中を流れる。
「んふふ……こんばんは。ゆんなちゃん。みんな」
気がつけば、彼女はわたしの背後に立って、そう囁いていた。そして、わたしの名前を呼んだ後、みんな、と呼びかけるように顔を上げたの。
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