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*
そう言うと、柚希ちゃんは少し迷ったような顔をしてから、また私を見た。
「はい……じゃなくて、……うん。分かった!」
「へへへ」
やっぱり年下って可愛いなあ。こうしてると、弟達のことを思い出す。
『姉ちゃん!』って呼ぶ声が、頭の中にリフレインする。
「待っててね、すぐ帰るから……」
思わず口に出して呟くと、柚希ちゃんが不思議そうな顔で私を見ていた。
「あ、ごめんごめん。口に出ちゃってた。あんね、ももやまには下のきょうだいが三人いるのですよ〜。柚希ちゃんとこうやって話してたら、なーんか思い出しちゃって」
そう説明すると、柚希ちゃんは「そうなんだね」と頷いた。
「柚希ちゃんにはきょうだいがいる?」
不意にそう聞くと、彼女は一瞬言葉に詰まったように見えた。でも、次の瞬間にはあっさり答えてくれたから、気のせいかもしれないなあ。
「うん。……瑞希っていう、4歳の妹……」
「そうなんだあ!じゃあ、柚希ちゃんも私とおんなじでおねえちゃんなんだねえ!」
「うん、そうなんだ」
おねえちゃん。そう言われて、なんとなく彼女がまた反応したように見えた。あれ、やっぱりよくないこと聞いてる?うう、やっちゃったかな……。
「ねえ、柚希ちゃん!」
「えっ、あ、うん?!」
咄嗟に声を上げたものだから、柚希ちゃんはびっくりしちゃったみたい。それに、急に横で大きな声出すから……。
「アッ、ごめんね!」と軽く謝って続ける。
「柚希ちゃんは、普段はおねえちゃんみたいだけど……ももやまに対しては、妹みたいに頼ってくれていいんだからね!」
エッヘン!と胸を叩いて言うと、柚希ちゃんは驚いたように目をぱちくりとさせた。
「ほ、本当に……?」
「もっちろん!私はみんなのおねえちゃんですから!当然、柚希ちゃんのおねえちゃんでもあるの!」
力強く言い切ると、柚希ちゃんは何だか嬉しそうな顔をしてくれた。
「わあ、う、嬉しいなあ……!ありがとう、お、お姉ちゃん……なんて……」
「へへ!可愛いねえ、柚希ちゃんは!」
私はみんなに頼って欲しいから。だって、おねえちゃんだもん。
柚希ちゃんみたいに、ゆんちゃんみたいに。嬉しそうな顔をしてくれるのが、私の幸せなんだもん!
*
柚希ちゃん、とっても嬉しそう。咲楽ねえも、同じくらい笑顔だ。
「お姉ちゃんって、本当にいい人なのね。ゆんなちゃんみたい」
わたしの隣に座ってるかえでちゃんが、穏やかな笑顔で言った。
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