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『しかし、君も一人の被害者だ。
今、世界の均衡が可笑しくなっているせいでこの学園の生徒達は心身が不安定になっている…
それが原因でオーバーブロットしてしまい君は強制的に本体から引き剥がされてしまった。
戻る事は難しいだろう。
でも、僕なら導く事が出来る。。
このまま此の世に留まり続けるのか…
僕の手を取り自分自身で道を切り開くのか…
君はどうしたい？』
普段なら彼は此処に存在してはならない。
消えるべき存在。
でも、心からの叫びを吐き出せる場所にやっと解放された彼がこれ以上苦しみを背負って消えるのは良いのだろうか？
僕は意思を持つ彼はレオナ・キングスカラーとは違う人物だと思っている。
だからこそ彼には自由になって欲しい。
黒レオナ 「……。俺は…」
『？！』
黒レオナは急に僕に近付き言った
黒レオナ 「俺はもう、あいつの影じゃねぇ。
あいつの影じゃ無くなった今、俺は只の影だ。
影が此の世に残ってもそれは意味が無い。
なら、最後に俺らしく運命に足掻きながら道を進んでやる
もう、立ち止まるのはごめんだからな。」
その答えを聞いて僕は微笑んだ。
『ﾌﾌ、君らしい答えだ。』
僕は胸ポケットからルビーを取りだし魔力を込めた。そして、導きの魔法を掛け彼に渡した。
『これから、君は目を瞑れば真っ暗な道に独りで立っている筈だ。
君は只、自分自身を信じ歩き続ければいい。
これはきっと、君が立ち止まりそうになった時に役立つ。』
きっと、これから彼が行く道は険しく絶望する事もあるだろう…。
でも、今の彼ならそんな道も簡単に通り向け自らの願いの為に只、突き進んでいく…
そう、僕は思う。
黒レオナ 「分かった。そうだ最後に１つだけ…」
そう言うと彼は獣人に指差して言った。
黒レオナ 「俺は先に行く。が、、
これはお前にへのペナルティーだ。
影だった俺に追い越されたくなけりゃ足掻いてでも立ち止まっても俺に必ず付いて来い。
その時、、
お前がどんな顔でそこに立っているのか……
楽しみだからなw」
そして、彼はルビーを手に持ち焔と共に消えていった。。
彼が最後に言い残した言葉…
それはまるで「頑張れよ」とでも励ましているかの様に聞こえた。
全く、獣人の影だった存在がほんの少しでこうも人間らしくなるとは……
やはり僕はまだ何も知らない赤子と同じ…か。
このモヤモヤの正体はきっと
僕が少し彼に嫉妬しているからだ
影であった彼が僕よりも輝いて瞳に写ったから…
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作者名：チロル | 作成日時：2020年6月8日 0時
