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駆け足でマンションのエントランスを出ると
肌に刺す様な寒さに身震いしたが、
私達は脇目も振らず大通りに留まっている
タクシーに乗り込んだ。
「…何て、言ってた？」
『２２時までにオレの事、見つけてって…
そしたら私達の過去とか聞きたい事、
全部話すって言ってた。
あと………』
「…何？」
『私の事、待ってるって…』
自分の思いが届いた事は純粋に嬉しかったが、
カズが出してきた条件に少し怖くなった。
もしかしたら、これが最初で最後の
カズの唯一の我が儘なのかもしれない。
しかし、時間は一刻一刻と過ぎていく。
もし、間に合わなかったら…と、
万が一の想像をするだけで泣きそうになった。
隣の櫻井さんは腕時計を確認すると
小さく舌打ちをして、私の左手を握る。
「…大丈夫。お前らなら大丈夫だから。
最悪な事が起きても、
俺が…お前らを救ってやる。」
左手をしっかりと包む優しい温もりは
怖くなった私の心を落ち着かせてくれ、
この先の予想も出来ない未来への不安を
ぶつける様に力強く握り返した。
タクシーは目的地に着き、急いで降りると
鞄から鍵を取り出す。
ここはカズの住んでいるタワーマンション。
同じミナミ圏内なだけあって、
あまり時間はかからなかったが
初めて訪れたマンションの自体の豪勢さと
重厚感に圧倒され、一瞬怯みそうになった。
さすがNo. 1…。
エントランスを開け、
私達を笑顔で出迎えるコンシェルジュの方に
ぎこちなく一礼してエレベーターに乗り込む。
しかし、エレベーターに並ぶ
大量の数の階数ボタンを押すのに困惑していると
隣の櫻井さんが聞いてきた。
「部屋番は？」
『…えっと、２８０６号室。』
そう伝えるとスッと手早く綺麗な指で
２８のボタンを押してくれた。
「合鍵は持ってんのに、来た事ねぇの？」
『…無い。カズは連れて来た事無いって言うけど、
お客さんと鉢合わせするのが嫌だったから…
だから、こんなに凄い所に住んでた事に
正直かなり驚いてる…(笑)』
「だよな…。ホストってそんな稼げんだな。」
『まぁ…No. 1だし、私達の普通なんて
通用しない世界なんだろうね…』
エレベーターを降り、
カズの部屋の鍵を開けて中に入ると
部屋の中は真っ暗で
誰かが居る気配は全く無かった。
『…カズ？居る…？』
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ゆき(プロフ) - コメ返ありがとうございます。本当に大好きな作品です。実は私のお誕生日に櫻井さんのお誕生日のお話だったので、とっても感激してたんです。またシリアスな展開になって大変かと思いますが、更新を楽しみにしてますね。主人公ちゃんがんばってほしいです。 (2019年3月14日 11時) (
レス) id: d68d4105ec (このIDを非表示/違反報告)
サフィア(プロフ) - ついこの間この小説の存在をしって一気に読みきっちゃいましたっ。すごく大好きになりましたし、文章とっても大好きです。更新楽しみにしてます！ (2019年3月6日 14時) (レス) id: 34b00c4705 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - さっくさん、更新をいつも楽しみに読ませて頂いています。というか好きすぎて何度も読み返してます。櫻井さんと主人公の関係にキュンキュンドキドキしながら、時に切なくて涙無しには読めません。これからも更新を楽しみにしてますね。 (2019年3月4日 14時) (レス) id: d68d4105ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さっく | 作成日時：2019年2月25日 18時
